2つの問題

医大の入試で不正(点数操作は不正行為です)があったことと、女性医師数の適正比率は、まったく別個の問題です。さらに言えば、医療界での性差別問題、出産・育児を抱えた女性の働き方問題も、一旦切り離して議論した方が建設的でしょう。

入試の点数操作は、理由が何であれ許すべからざることです。人の努力を何だと思ってるんだ!殊に今回取り上げられたやり方は、試験の意味を殆ど無にするようなもので、入試問題作成者も一緒に怒っていい。どうしても男女の比率を操作したければ、最初から募集人員にそう明記すべきです。今どきの医療は数値に頼ってやることが多い(その是非はさておき)のに、これほど数値を馬鹿にしたやり方がまかり通るようでは、何もかもが信用できません。

この業界に女性が参入するに当たってさまざまな困難があるということ、試験点数だけで将来の適性までは測れないということ、もしそれらが合格人数の男女比率を一定にしておきたい理由であるならば、その根拠を明示して欲しい。そしてその解決方法を、行政や社会一般と共に模索して欲しい。

かつて鳥取大学で勤めた時、体育と家庭科教育以外の女性教員は、特別支援教育のための小児科医と私だけでしたので、その先生と仲良くなりました。こんな思い出話を聞きました。ある時、病院から派遣されて往診に行ったら、患者が「あの病院、看護婦なんか寄越して」とぷんぷん怒っている。付いてきた看護師が「こちらは先生ですよ」と言ったので、やっと診察することができたーそういう時代から、どうにかここまで来たのです。いい医師なら性別に関係なく、主治医に選びたいではありませんか。