中世写経料紙の調達

相田愛子さんの「中世写経料紙の調達と漉返紙利用に関する一試論」(「アート・リサーチ」18号)という論文を読みました。

11世紀半ば頃、官製和紙の紙屋紙は漉返紙に替わり、朝廷で使用される紙も諸国産の和紙に替わって、それらは市場で売買されることもあったらしい。11世紀後半までは無染色の漉返紙が使用されていたが、12世紀には漉返紙を藍で染めた紺紙金字経が制作されるようになり、これらは多少なりとも公的性格を帯びたものと見られる。京都や鎌倉では、大量の行政文書を処分する過程で再生紙が製造されたのであろうー等々、大いに蒙を啓かれました。

平家物語成立の手がかりとなる史料には紙背文書が多く、中世の紙の再利用についての具体的な状況を知りたかったのですが、注に挙げられている参考文献なども追々勉強していきたいと思います。