喫茶店今昔・その1

地方勤務だった頃、帰京するのは夜遅くで、家の冷蔵庫は空っぽでしたから、翌朝は喫茶店でモーニングを摂りました。世田谷在住の時は、駅前の喫茶店に、買い立ての朝刊を持って入り、つかのまの自由を楽しんだのですが、いつも、初老の男性集団がかさばりながらお茶を飲んでいて、ちょっと異様でした。何らかの組織とは関わりがある(上下関係がある)らしいが、きっちりした統制ではない。聞くともなく聞いていると、高速道路の料金所勤務の一団が、交替の後くつろいでいるのだと分かりました。

かつて高速道路の料金所には若い、働き盛りの男性がいましたが、その後定年退職後の公安関係者になり、今は女性もいるようです。人手不足が言われ始めた頃、料金チェック程度の軽作業に若い人手はもったいない、という議論が国会でなされ、道路公団側は、料金を踏み倒されないためだと答えたそうです。「高速道路で、車を走って追っかけるのか」と、笑い話になりました。

便利な喫茶店でしたが、チェーン店になったらしく、店主がおざなりな仕事をするようになり、レタスにアブラムシがついていたり(洗っていない)、ウェイトレスのロングヘアがカップの上に垂れ下がったりする(働く身なりを教えていない)ようになって、行くのをやめました。その頃からコンビニが早朝から開いているようになったのです。

今はうっかり喫茶店でお喋りすると、うるさい!と言われます。喫茶店では本を読む人、うとうとする人、談話する人が混じっているものと思っていたのですが、最近はみんなPCを持ち込んで、独りで時間を過ごすようです。