八重の侘助

寒い冬でしたが日脚が延びてきたので、春の気配が近づいてきました。小学校の門前にはクロッカス(私がこっそり植えました)が咲き始め、我が家のベランダでは葡萄ムスカリや素馨花、室内では胡蝶蘭の蕾が、日に日に膨らんでいます。一列に植えた球根は東寄りの株から咲き始め、春は東方からやってくる、というのはほんとうだなあと思いました。

実生の椿に、今年やっと、2つ花がつきました。近所に、門口に白い花ばかり植え込んだ粋なお宅があって、椿の大きな実がなり、つやつや光っているのに惹かれて1個失敬して播いたのです。6本芽が出て、1本は枯れ、2本は人に上げ、残った3本の中の1本です。当然、白い花だと思って十数年育ててきたのですが、咲いたのは薄紅の八重、和菓子のように優しい、小ぶりの花でした。吃驚してよくよく見たら、あのお宅の白椿の陰にはもう1本、赤い侘助があったのですが、色が濃く、一重咲きです。侘助は一重が普通なので、謎は深まるばかりです。

不思議と言えば不思議なのは、隣同士の花の色は伝染するらしい。ビオラプランターにびっしり植え込んだのですが、白の斑入りの咲く株を濃紫の花の株の傍に植えておくと、だんだん薄紫になる。植物学ではすでに知られていることなのでしょうか。