ウィスキーボンボン

聖バレンタインは伝説の多い人らしく、小鳥たちに愛されたとされ、鳥に囲まれて説法する絵を見たことがあります。弊国で言えば良寛さんのような人でしょうか。この時期は日脚も延び、鳥たちの恋が始まるので愛の記念日になったのだという説明を聞いたことがありますが、四季のある日本で作られた説明でしょうね。

アメリカでは恋人に限らず、理由なく贈り物をしていい日で、身寄りのないお年寄りにプレゼントしたりする、と友人から聞いたことがあります。最近は義理チョコが廃れ、自分への御褒美に買う人が多いそうですが、それもまたいいと思います(1粒¥1000!のチョコもあります)。尤も男性は、深い事情はなく女性からプレゼントされ、お返しを選ぶのが嬉しいらしく、父もかつて、部下の女性たちから連名でウィスキーボンボンを頂き、ホワイトデーにはいそいそとナッツの詰め合わせを買いに出かけたりしていました。

私も現役時代、仕事以上にお世話になった男性にはバレンタインのチョコを、女性には雛祭のお菓子をお送りする習慣にしていました。お返しにはエプロンやハンカチを頂くことが多かったようです。今日これから、義理チョコを選ぶ女性に忠告―酒好きにウィスキーボンボンを贈ってはいけません。酒好きは、酒は酒、甘味は甘味と峻別して愛するのです。あのボンボンは、けっきょく1年間、仏壇に上がったままでした。