立雛

確定申告に必要な書類を捜索したついでに、納戸で雛道具の箱を開け、いつもとは違う雛を出すことにしました。母が嫁入りに持って来た親王雛は100年以上経って、鼠に鼻を囓られたりしているので、例年大内塗の達磨型の親王雛を飾っていたのですが、今年は立雛を出しました。桜の小枝を削って絵付けしただけの素朴な雛人形です。立てるとちょっと傾くのも野趣があります。胴の部分に藤の花の絵が描かれているのは、藤原氏と関係があるのでしょうか。鳥取の岩井温泉で作られたものを、県の物産館で買ったので、温泉には未だ行ったことがありません。着任した年の忘年会で、単身赴任の美術教師からしきりに誘われたのですが、私も未だ若かったので、警戒して行きませんでした。今となっては、雪の中を訪れることは無理なようで、残念です。

それだけでは寂しいので、子供の頃、父が作ってくれた木彫りの雛も出しました。物の無い時代だったので、角材を小さく切って、彫刻刀で彫り出した山型の1対です。そして、出張のついでに買って来た、直径1.8cmくらいの土鈴になっている1対(ちゃんと金屏風も赤い座布団もついています)も。京都だったか愛媛だったか、買った土地を忘れてしまいましたが、無茶苦茶忙しかった頃、とりあえず机上に飾っておいたのでした。

小さい人形ばかりですが、朱塗の盆に載せたら格好がつきました。シンボルカラーの雛菓子は、ホワイトクリーム・抹茶・苺ジャムをそれぞれ包んだ一口チョコを盛り合わせることにしました。白酒代わりにはロゼワインの小瓶を。