パン屋を探す

行きつけの美味しいパン屋がこのところ、品揃えが悪くなりました。いつ行ってもショーケースはがらがら、先客と最後の1本(フランスパン)を奪い合いになったりするので、訊いてみたら、店のオーナーが病気で、当面販売量は増えない、とのこと。我が家は週1回買って来たパンを冷凍して、毎朝の食事に使っているので、困りました。

小石川にも手作りパンを標榜する店が裏通りにありましたが、独逸系なのか、ぎっしりと重く、朝食には向かない。ぱりっ、さくっ、ふわり、とした、香りのいい仏蘭西系のパンで朝を始めたいのです。しかたなく、あちこちのスーパーやコンビニでよさそうなパンを物色しています。うす甘く、しとっとしたものが多くて、毎日食べ飽きないものはなかなか見つかりません。デニッシュは手が汚れるので忙しい朝には不向き。燕麦入りとか、もちもちパンとか、ナンとか、長野のおやきとか(これはパンではない)、どれも目新しいが、3日続けて食べる気にはなりません。

鳥取在勤時代、学会のため京都へ行く列車で、独逸文学の教員と乗り合わせました(狭い社会なので、たいてい誰かと乗り合わせるのです)。京都に着くまで、如何に独逸が素晴らしいかという話を拝聴しました。パンは独逸のものに限る、と。当時鳥取警察が小型飛行機から交通安全を呼びかけていたのですが(だいたい、何を言っているのか聞こえない)、独逸国民がいかに静寂を愛するか、彼地ならあんな飛行機は狙撃されてますよ、とも。京都に着き、駅の構内にパン屋があったので、帰路に独逸パンを買いました。ずっしり重くて、噛み応えのあるパン。これが独逸なんだ、と噛みしめました。