何がめでたい

昨日は天気がよかったので、本屋に出かけました。小川剛生さんの『兼好法師』を買いに行ったのですが、ついでに佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』と来年のカレンダーも買いました。カレンダーの絵は犬猫ばかり。我が家の定番、富士山の絵をようやく見つけ出し、もう1冊は梟にしました。

混み合うカフェのドアの陰にやっと席を見つけ、木莓のムースと珈琲を頼み、『何がめでたい』をぱらぱら読みました。今年最高の売り上げ(90万部)だそうで、オビには「なぜ売れてるのかは買った人に訊いて下さいよ!」とありました。「女性セブン」に2015年から1年間連載したエッセイを集めたものですが、痛快なのもあり、がちゃがちゃ喚いているだけ、というのもあり、キレはいま一つ。見出しもやや隔靴掻痒の感ですが、紙面が読みやすい。ドッグフードをやらずに飼った犬への追悼文「グチャグチャ飯」や押し買いを撃退する「悔恨の記」、新聞の人生相談にツッコミを入れている数篇は面白かった。「元気老人」もしくは「ぶっとばし婆さん」というのは、いま売れ筋なのでしょうか。何だか江戸前のべらんめえを聞きたくなりました。

大手スーパーへ廻って、定年退職の方へ贈るベルモットを注文しました。「熨斗はどうしますか?」と訊かれて一瞬迷いましたが、ここはやはりお祝い熨斗。とにもかくにも辞表をたたきつけずに、病気や怪我による退職でなく、定年までたどり着いたら、めでたい!のです。

街は肩がぶつかるほどごった返していました。世の中にはこんなに人間がいるんだ、と感心しながら、雨だれのように流れるクリスマスイルミネーションの下をくぐって帰りました。