源平の人々に出会う旅 第12回「京都市・牛若丸と弁慶」

 富士川合戦で勝利した頼朝の許へ義経が奥州から駆けつけます。義経の生い立ちについては『義経記』や学習院本・流布本『平治物語』などに詳細な記述があります。

貴船神社
 平治の乱(1159年)で父義朝が敗死し、赤児だった牛若丸(義経の幼名)は鞍馬寺へ預けられ遮那王と名乗ります。『義経記』には、遮那王鞍馬寺から僧正ヶ谷を通って貴船神社に詣でて、平家討伐を祈願したとあります。

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義経息次ぎの水(鞍馬寺)】
 義経が僧正ヶ谷で天狗から剣術を習ったという話は有名ですが、奥の院の近くに、僧正ヶ谷へ向かう義経が喉を潤したという清水が湧いています。この他にも、境内には義経の背比べ石や義経堂をはじめ、義経ゆかりの名所が点在しています。

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【弁慶石】
 武蔵坊弁慶については『義経記』や『弁慶物語』などに詳しいですが史実は不明です。弁慶は色黒と記されており、絵画作品では「ガングロ」の弁慶をよく見かけます。
 弁慶石は、年少期の弁慶が愛した石と伝わり弁慶町にあります。

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五條天神社
 999本の太刀を集めた弁慶は五條天神に祈誓し、千本目の太刀を奪うために参詣者を待ち伏せします。そこへ笛の音と共に現れたのが義経です。義経に打ち負かされた弁慶は、翌日、清水坂待ち伏せしますが、再び負けて義経の家来になります。有名な牛若丸伝説ですが、『義経記』がもとになっています。

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〈交通〉
 貴船神社鞍馬寺叡山電車鞍馬駅下車
 弁慶石…市営地下鉄東西線京都市役所前駅下車
 五條天神社…市営地下鉄烏丸線五条駅下車
                  (伊藤悦子)