紅葉の思い出

春日通りでも本郷通りでも公孫樹並木が黄葉し始めました。今年は寒さが早くやってきたので、東京でも紅葉がきれいです。礫川公園もみごとに色づいていましたが、近所の庭先もブルーベリーやドウンダンツツジが、けっこう見とれるくらいになっています。

未だ都電のあった頃、本郷通りの公孫樹の落葉の季節には、都交通局の職員が竹箒で線路の落ち葉を掃いていました。公孫樹の葉は油があるので、轢きつぶすと車輪が滑って危ないのです。未だ青い葉がよく和本に挟んであることがありますが、その成分が虫除けになるらしい(煙草の葉も同様に使われます)。

宇都宮大学ではこの季節、リヤカーを引いてキャンパスの落ち葉を掃くアルバイト(地元の高齢者向け)がありました。しかし終日、掃いても掃いてもすぐ降り積もるので(このキャンパスは100年近く移転しておらず、大きな落葉樹が茂っているのです)、傍目からも空しい作業に見えました。集めた落ち葉を堆肥にでもしていたのでしょうか。

農学部があるので、門の脇に仏蘭西式庭園(左右対称で設計されている)と英吉利式庭園(ただ草茫々にしか見えない)があり、宇都宮に泊まった朝はここでサンドイッチを食べました。楓(ふう)の巨木があって、深紅に紅葉し、掌くらいもある大きな葉が風に揺れると、人が手を振っているように見えました。ちょうど入院中の家族が終末期だったので、別れの挨拶のように見えて、出勤してくる職員に見られないように泣きました。