観菊

来日中のJ.ピジョーさん(中世日本文学に詳しいフランス人です)と待ち合わせしました。ピジョーさんの日本での楽しみは、日本酒と水泳。まず蕎麦屋へ入って、燗酒を銀杏で呑みました。明日は房総の海で泳ぐ予定だそうです。心配する私に、欧州人は日本人より体温が高いから大丈夫、と言われました。

その後、2人で湯島天神の菊花展示を見に行きました。懸崖や盆栽や菊人形の外、いろいろな種類の菊の鉢がぎっしり並び、心が洗われるようでした。ピジョーさんはクリーム色の厚物咲が、私は白の管咲が気に入って見とれていたら、御前の広場から太鼓の音。ちょうど区主催の菊祭期間中なので、猿回しが来ていたのです。女性の猿回しが、さくらという名の猿に高跳びや竹馬乗りの芸をさせて見せましたが、芸をしながらもさくらの眼は、取り巻いている観客たちを1人ずつ観察していました。

男坂を下りて、喫茶店でいろいろお喋りしました。マクロン新大統領の評判、日本製ウィスキーの仏蘭西向けラベルにはパスカル箴言(人生には在りすぎていけないもの、不足していけないものがある)が引用してあること、フランスでは公共施設から宗教色を排除していく傾向が強く、聖母子像を見て「これ誰?」と言う子供もいるようになった(フランスでは、8月15日がマリア昇天の日として国民の祝日になっていることを、私は初めて知りました)とか、終活の話とか・・・もう来秋来られるかどうかは分からない、とのことでしたが、夕焼の始まった天神下で、「また来年!」と言って別れました。