竹富島の猫

観光客が餌をやるので猫が増え、注意書が出ている観光地があります。美しいビーチで有名な、竹富島コンドイ浜もそうでした。浜辺のテーブルに弁当を置いた途端、仔猫が卓上に飛び上がり、当然の如く突進して来たので、頭をひっぱたいたら、いっちょまえに、シャア!と威嚇されました。未だ掌に乗るような仔猫です。「きみが食べる場所はここ!」と言って、肉片を地面に落とすとすぐ飛びつきました。

ふと気づくと、大人の猫が2匹寄ってきて、1匹は私の座っているベンチの端に、もう1匹は地上に座って、私を見て見ぬふりをしている。両親らしい。「きみらはここ!」と言って、また肉片を落としてやると、親猫も下に降り、肉片を咥えてベンチの上で食べ始めました。地上では砂まみれになるからでしょう。

15分もすると、猫たちは卓上には上がらず、投げられる餌を待つようになりました。その間に私は弁当を食べ終わりましたが、通り過ぎたカップルの男性の方が、何故か傷ついていて、「きみら、きみらって・・・」とぼやいている。職業柄、年長者が若い者に言い聞かせる口調で猫をしつけていたのかもしれません。自分が言われているように聞こえたのでしょうか。

それにしても、あの親猫2匹の間合いの取り方は絶妙でした。私と仔猫の両方を視野に入れながらそっぽを向き、親同士の視線もそれとなく交差している。人間でもなかなかあの真似は出来ません。もう10年近く経ちますが、今も彼らは白砂の浜で、揃って暮らしているのでしょうか。