源平の人々に出会う旅 第10回「東京下町・頼朝再起②」

 『源平闘諍録』や『源平盛衰記』によると、頼朝は八幡(市川市)から太井(江戸川)・澄田(隅田川)を渡り、滝野川(北区)に布陣します。頼朝が太井川を渡った場所は、現在の市川市松戸市付近と考えられます。『更級日記』に記された「まつさとの渡り」だったのでしょうか。

【古隅田川】
 隅田川は現在の流れとは異なり古利根川の支流でした。古隅田川沿いの蒲原村宿駅(足立区)に頼朝が宿陣したという伝説があります。

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【葛西城址
 頼朝は葛西三郎重清・江戸太郎に命じて隅田川に浮橋を渡します。葛西城(葛飾区)は葛西氏の築城と考えられており、この付近の出身だったようです。

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隅田公園
 『吾妻鏡』によると、頼朝は隅田宿で乳母の寒川尼と再会しています。隅田宿の位置は不明ですが、隅田川東岸の東白鬚公園(荒川区)・隅田公園墨田区)、西岸の石浜・浅草(台東区)付近に隅田の渡しがあったと想定されており、隅田公園内の牛嶋神社や浅草の浅草寺にも頼朝や千葉常胤の伝説があります。

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【音無親水公園】
 桜の名所・飛鳥山公園の付近には現在も滝野川の地名が残っています。頼朝が音無川の金剛寺付近に布陣したという伝説があります。

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〈交通〉
 JR線亀有駅綾瀬駅王子駅東武線浅草駅 他
                  (伊藤悦子)