夫婦別姓(続・ジェンダーとメディア)

随分前(未だ同棲や事実婚が好奇の目で見られた頃)のことですが、我が家の購読紙がジェンダーに関する連載をしたことがありました。差別される女性側に立った視点です。ある日、夫婦別姓について、こんな話が載りました。

フリーランスのデザイナーの女性、夫は大手広告代理店の社員。入籍はしたが仕事は旧姓でやるつもりだった。ところが夫がしきりに名字を変えさせたがる。仕方なく新しい名刺を作ったところ、夫は嬉々として取引先に配っていた―オトコは妻を自分に所属させたがるものだ、という愚痴でした。記事もまったくその目線で書かれていました。

一読後、違うだろ、と思いました。別姓の女性デザイナーを、「いい仕事してるから使ってみてよ」と取引先に言って歩いたら、どうなるでしょうか。女性との関係を説明し、何故別姓なのかを説明しなければなりません。自分の人脈を使って妻の仕事を応援しようとしている(そういうしがらみなしに仕事をしてきた女から見れば、ちょっと腹の立つ話です)のに、ややこしくなるだけで効果は挙がりません。

自分の夫の善意も解らずに男女平等を主張するのか、といささか憤慨しました。あの夫婦はその後どうなったでしょうか。今は共白髪で和気藹々と暮らしているのかしら。