身元不詳

昨夏、石榴の木の根元に芽を出したものがありました。こんな所に何か播いたっけなあ、と考えて紫式部の実をこぼしたことを思いだし、春になったら植え替えることにしました。秋には葉が落ち、しかし枯れず、春先に大きな鉢の隅に植え替えました。

しばらくして蔓が出ているのに気づき、えっ?と思いましたが、割箸を立ててやると嬉しそうにしっかりしがみつく。何か蔓のあるものを播いたっけ、と考えてみましたが、もしかするとご近所のクレマチスの種子を失敬してきたかも知れない、とそのまま待つことにしました。夏が来て蔓はどんどん伸び、蕾らしきものも見えはするのですが、とにかくはびこることに精を出す。何だか所属している業界のあれこれを連想させられるので、ゆかいでない。

これは野草に違いないとネットで調べ、昼顔という結論に達しました。鳥が運んできたのでしょうか、通常、結実しないとあったのが不審でしたが、ピンクの花が咲くのもわるくないなと、待っても待っても咲きません。

同じ鉢の菊が窮屈そうなので、思いきって抜くことにしました。根が張っていて、やっと引き抜いたら菊もすべてひっくり返ってしまいました。蔓はリース状に編み、吊り鉢に入れたのですが、ふとあまりに青臭いので調べ直したら、葉の形はどうやらへくそかずら。花が咲けばそれでもよかったけど、私の植物勘もすっかりにぶったことを痛感しました。昼顔もへくそかずらも、多年草だとは知りませんでした。