蕎麦屋の代替わり

久しぶりに小石川へ行きました。昼頃、用が済んだので、大黒湯の隣の蕎麦屋に入ってみました。親の家にいた頃、よく入った蕎麦屋です。美味しい店でしたが後嗣ぎの息子に嫁さんが来て、大きな水車を店の前に据えたり、パック入りの年越し蕎麦を売り出したりして味が落ち、爾来入ったことがなかったのです。

息子夫婦も年を取り、味は平均的な蕎麦屋になっていました。勿論、水車は外され、しかし煤けた天井や壁の飾り物は先代のままでした。本郷は店の入れ替わりが激しいのですが、この辺は50年前の肉屋、和菓子屋、呉服屋、接骨院などなど未だ看板を上げています。代は替わったのでしょうし肉屋がとんかつ屋になったりはしていますが・・・蕎麦屋もサラリーマンの昼食で繁盛しているらしい。店を出てふり返ったら、立看板に「大正十一年創業」とチョーク書きしてありました。

用務は、初月給のときに作った銀行口座を閉めに行ったのです、休眠口座を国に狙われるのが厭なので。学部時代の母校が近くにありますから年1回くらいは未だ来るかも知れませんが、10代20代を過ごした小石川の街も、こうして遠くなり始めました。