空飛ぶ花

近くに大小2軒の花屋があります。小さい方の花屋では時々おまけをつけてくれることがあって、鶏頭の苗を買ったら珍しい色のカーネーションを1本、つけてくれました。秋らしい、錆朱色の花です。「コロンビアから来たんだ、カーネーションはコロンビア産が一番!」と店の主人が言います。

この頃大きな方の店で八重咲きの花を買うと、開かずに芯から腐っていくことが多くて、管理がわるいと文句を言ったことがありましたが、そもそも海外から来ていたのでは、鮮度が昔とは違うのでしょう。パーティや講演会場の飾り花なら、1日もてばいいわけです。

土用の丑の日の前には台湾から大量の鰻が空輸されますが、水なしで段ボールに生きたまま詰めて搭載するのだと聞いたことがあります。切り花もそうでしょう。国内でも、市場に出す時は、ぴんぴんだと花首が折れたりするので、わざと萎れ気味の状態で輸送するそうです。仕入れてきた花たちが、夜中の店先でざわざわと生き返っていく音を聴くのは、花屋として至福のときーそういう投稿短歌を読んだことがありました。