漢文スタイル

斎藤希史さんの『漢文スタイル』(羽鳥書店 2010)を読んでいます。詩による予言を扱った論文に引用されていたので、そうそう、我が家にもあったっけ、とツンドクの山の中から探し出しました。斎藤さんとは名古屋だったか、国文研の客員を務めた折(あるいはその両方)だったかに言葉を交わしたことがあり、この本が出た時、どんな仕事をしている人だろうと取り寄せたままになっていました。

あちこちへ書いたエッセイを集めた本ですが、楽しめて、優雅な気分を味わえて、しかも蒙を啓かれる本です。中高年にはお奨め(勿論、学生にも)。高校時代、学習参考書をそのまま読み上げているような漢文の授業に退屈し、白文を読める能力の養い方が判らないのに焦れて嫌いになり、必要以上には近寄らずにいた漢文の世界を、今こうして楽しめるのが嬉しい。Ⅰ詩想の力 Ⅱ境域のことば Ⅲ漢文ノートの3章立てになっていますが、Ⅲから読み始めると入りやすいでしょう。

白が多い、すっきりした装幀なのですが、憾むらくは造本の背がやわで開いた形を保ちにくいこと。ソフトカバーにするか背中をきっちり造るかして欲しかった気がします。