産地の果物

かつての教え子が東郷町の梨を送ってくれました。鳥取県中部にある東郷町は、今は湯梨浜(温泉と梨のある海岸沿いの)町と名を変えたようですが、周囲12kmもある東郷池(ちなみに、日本一大きな池は鳥大の近くにある湖山池。池、沼、湖を区別する基準は不明です)と羽合温泉(最近は、日本のハワイ、を名乗ってわざと平仮名書きにしている)が有名。

東京では、果物は傷一つない、ちょうど食べ頃で店に出ますが、産地では、綺麗なものは市場に出してしまうので八百屋の店先には、傷だらけか規格外の実ばかり。学生時代に岡山を歩いた時、傷だらけの白桃が一山いくらで店に出ているのを見て吃驚しました。白桃といえば薄紙に包まれた高級果物しか見たことがなかったので、連れの友人と「買ってみよう!」ということになり、その晩、宿で剝いて食べた時の美味しさは今でも忘れられません。完熟でした。同じ頃、初秋に弘前へ行ったら、林檎ジュースを牛乳瓶1本5円(当時郵便葉書が¥5だった)で売っているのを見て、さっそく飲んでみたところ、濃厚な甘さに感激しました(未だ果汁100%ジュースなどない頃です)。地元出身の友人から、落果で作るから安いのだと教えられました。

鳥取にいた時、八百屋に出るのはやはり傷だらけの梨でしたが、味に別状はないのでよく買いました。関東に多い品種は赤梨と言われる幸水などですが(以前は「歯磨きみたいだ」と言われるほどざらざらの果肉でしたが、最近は改良されました)、20世紀梨は青梨と言われ、子供の頃には白桃やマスカットなどと並ぶ高級果物でした。もとは千葉で発見された突然変異の種だそうです。

勿論、送られてきたのは傷一つ無い実ばかりで、1口囓ると果汁が口から溢れました。