年官制度

手嶋大侑さんの論文「平安中期の年官と庄園」が「日本歴史」7月号に載りました。論文集『明日へ翔ぶ 四』掲載の論文「年官制度の展開―中央と地方の連関ー」の続編です。中央の権門は、平安時代以降、年官によって形成された地方の有力者とのネットワークを駆使して、安定した庄園経営を実現したと説き、年爵についても同様であったのではないかと問題提起しています。

手嶋大侑さんは、名古屋市立大学大学院のDC課程に在学。「「三宮」概念の変遷と「准三宮」」(名古屋市大大学院「人間文化研究」23 2015)で、従来、年官は「三宮御給」から発生したと考えられていたが、年官発生時期には未だ「三宮」=三后ではなく、「三つの宮」という意味しかなかったとして、再検討の必要を主張しています。