太平記絵

思文閣古書資料目録善本特集『和の史』254号に「太平記図屏風」6曲1双が載っています(No22 ¥650万)。太平記絵はあまり多くなく、このように豪華なものは珍しい。24図が物語の順とは関係なく屏風に貼られているとのことなので、当初から屏風絵として制作されたのかどうかは精査してみないと分かりません。元来は詞書があったのかどうかも不明です。写真図版で見る限りは、各図が完結していて精緻に描かれているように見えます。

図録の解説では年代を江戸中期としており、人物の顔などから見ると初期とは言えないようですが、大型で精細で、金泥、金粉を使った画面からは、有力な注文主がいたのではないかと想像されます。

すでに太平記絵巻を所蔵している埼玉県立博物館などが購入して、公開してくれないかなあ、できれば他の絵画資料との比較調査も―公立博物館では予算が足りないというなら、クラウドファンディングという手もあります。思文閣の有能な営業マンに、ぜひ今後公開可能な先へ買って貰うよう、がんばって欲しい。