怪我の高名

先週末、煉瓦の舗道で躓き転倒して、したたかに膝を打ちました。皮下出血が見えなかったのでそのまま歩いて帰り、週明けに医者にかかったら、関節内に出血が溜まっている、靱帯損傷全治3週間と言われました。家の中では花魁のように外八文字で歩いていますが、外出はままならず。さあどうしようと途方に暮れましたが、冷静になって考えてみると、どうしても今やらねばならないことは、そんなにはない。このところ、いわば急坂をギアいっぱいで駈け登ろうとして、パズルのように日程を組み、これを今やっておかないと後がつかえる、先延ばしできない、と前のめりになっていたことに気がつきました―反省。

何も説明しない医者なので帰宅後ネットで調べたら、3日間、やってはいけないことばかりやったことが判明。とりあえず冷やしたまではよかったが、終日腰掛けて仕事をし、晩酌し、風呂に入って温め、揉みさすった・・・

けっきょくは自然治癒を待つしかないようで、鎮痛剤と胃薬と湿布薬を処方されました。鎮痛剤は腰痛で経験済み、胃に悪いことは分かっているので断り(中世の武士はボルタレンなんかなしで矢傷を治したはず)、ロキソニンの湿布を膝に貼ってサポーターを巻いているのですが、頭痛やら蕁麻疹やらの兆候が出て、人に聞いたら、今どきの湿布薬は速効の劇薬なのだそうで、子供の頃、親が何やらメリケン粉に混ぜて包帯に塗りたくってくれたものと同じように考えたら大間違い、なのだそうです。

すこしずつ快方に向かっている気がしますが、いい勉強をしました。かかりつけの医者を選ぶのには、直近よりもタクシーで乗り付けられるかどうかを考えた方がいいかも。要介護になった時、家の中のどこに手摺りをつけるべきか。そして、日頃医薬に頼らずにいると薬が効きすぎる(医者の言うとおりに鎮痛剤を服用していたら大変だった)。

こういうのを怪我の高名というのでしょうか。それにしても、転んだ時に通りかかった小さな男の子が、杖を拾ってくれ、心配そうに顔を覗き込みながら渡してくれた、あの眼を思い出すと、胸キュン、となります。