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長門切からわかること

國學院雑誌5月号が出ました。拙稿「長門切からわかること―平家物語成立論・諸本論の新展開―」が出ています。昨年7月に投稿するはずだったのですが、諸般の事情で今月号になりました。

新出の長門切(「敦盛最期」2葉、「宇治合戦」2葉、「横田河原合戦」1葉、未詳1葉、それに仁平道明氏が「墨俣合戦」の部分とされている1葉など)を紹介し、それらがいずれも現存諸本では源平盛衰記に近い本文であることを検証しました。その上で場面同定の難しさ、書写の特異性、截断以前の底本に関する憶測など、長門切を資料として扱う際の留意点を論じ、平家物語諸本の流動過程との関わりに踏み込んでみました。

古筆切の年代判定に困難がつきまとうことは周知の事実ですが、長門切に注目することによってわかるのは、源平盛衰記的本文もまた比較的はやくから存在していたという可能性、それによって平家物語本文流動の大枠を見直す必要が生じるということです。延慶本一辺倒で進んできた近年の平家物語古態研究に対して、それだけで成立論・諸本論は完結しない、むしろ新たな問題が展開してくることを知らされるのです。

抜刷は次回の軍記・語り物研究会、関西軍記物語研究会、7月29日に予定されている資源セミナーなどでお配りします。國學院雑誌についてのお問い合わせは、國學院大学広報課03-5466-0130まで(誌代は1冊¥210)。

訂正とお詫び:

同誌38頁上段4行目に誤記があります。

【誤】界高17.0,字高16.8センチ→【正】界高7.0,字高6.8センチ

所蔵者の高城弘一先生にお詫びを申し上げます。なお後半の切は損傷部分を裁ち落とした痕があり、本紙の縦の寸法は、現状では2葉一致しません。