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しらす

銀行へ行った帰りにスパゲティの昼食を摂りました。季節限定で「しらすと春キャベツ」というメニューがあったので、どうかなあと思いながら注文してみました。釜揚げしらすがたっぷり乗せられ、小綺麗に盛りつけてあって、チーズ味のソースが意外に合う。春らしく、胃にやさしい、一皿でした。

幼年時代、湘南の茅ヶ崎で育ちました。沖に烏帽子岩が見え、砂鉄の多い、黒い砂の浜です。相模湾は、汀は長いがすぐ深くなり、波がけっこう荒い。波打ち際に立っていても引き波で足元から砂が崩れ、毎年子供が波にさらわれるような浜でした。サーフィンが流行り、サザンオールスターズがロマンチックな夕陽を歌うのは、ずっと後年になってから。未だ戦時中のトーチカが残り、松林は松根油の採取のために大半が伐採され、10cmくらいの小松が植林されたばかりでした。近くの市立中学校は、強風の日には砂嵐のため休校になりました。

日曜日には浜で、地曳き網を子供たちにも曳かせてくれるというので、2時間くらいかかってようやく曳き揚げると、細かなしらすが一杯入っているだけで、ほかには鰈が1枚。玄界灘で育った我が家の大人たちはそれ以来、この海はしらすしか獲れない海だ、と小馬鹿にしていたふうがあります。干して作ったたたみいわしは、安くて簡便なので、弁当の定番でした。

今やそのしらすが名物になり、駅弁にもなり、わざわざしらす料理を食べに行く人たちもいるらしい。隔世の感があります。