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QWL

明翔会会員の中尾文香さんに最近の活動を書いて貰いました。テミルプロジェクトについてはすでにこのブログでも紹介しました(株式会社テミルのHPはwww.temil.jp)。 彼女の新著『障害者への就労支援のあり方についての研究』に関するお問い合わせは、風間書房(電話03-3291-5729)まで。

【障害者のQWL】   中尾文香

私は7年間、福祉事業所(施設)で働く障害者の働き甲斐と賃金を高めることを目的とした「テミルプロジェクト」に関わっている。テミルプロジェクトは、百貨店等で販売できるような質の高い商品をつくるために、プロのパティシエがレシピ提供・製菓指導をし、絵本作家やデザイナーがパッケージの絵を担当、それを、手づくりという事業所の強みを活かして1つ1つ丁寧につくるといった仕組みである。

事業所がつくる焼き菓子は全てオリジナルにこだわった。それは、障害者や職員が自分たちの商品と思い、愛着を持ってほしかったこと、その商品を「おいしい」とお客様に言ってもらえた時に働き甲斐や働く喜びを感じてほしかったからである。

これは、私が研究していたQWL(Quality of Working Life)につながる。QWLには、適切な労働条件(安心安全な環境、給与等)、家族も含めた社会保険等の整備のみならず、個人の働き甲斐の醸成や成長、職場仲間との関係、労働以外の生活とのバランスも含まれる。つまり、労働の豊かさとは、給料や待遇といったことだけでなく、そこでどのような仕事がなされているかという質、レジャーや家族のことも関係している。

私が特に注目したいのは、「個々の働き甲斐」である。人は、社会の中で自分の役割を認識でき、他者の役に立ったり、他者から「ありがとう」と言われたりすることが、生きる上での大きな活力になる社会的動物である。これは障害があろうとなかろうと変わらない。しかし、資本主義経済において人を単一的な「効率」というものさしで捉えてきた結果、障害者は社会的に排除され、QWLを高める機会が奪われてきたという事実がある。私たちソーシャルワーカーの就労分野における仕事は、働く権利の回復に向けた、労働環境の整備であると考えている。