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天国のお菓子

お土産に小川軒のレーズンウィッチを頂きました。子供の頃、父が持ち帰って食べさせてくれた時は、世の中にこんな美味しい物があるのかと思いました。今では似たようなレーズンサンドクッキーがあちこちで出ていますが、当時は小川軒だけ、1日に作る数も限定で、滅多に食べられないものでした。冷たいクリームとさくさく崩れるクッキーと、上に載ったアーモンドの薄片が、西洋へのロマンティックな憧れをそこはかとなく感じさせました。

幼年時に感激した味覚が一生、特別な記憶となるのは多くの人が書いています。殊に未だ砂糖が貴重品だった時代でしたから、もっと「高級」なものが一杯あることを知った今でもなお、小川軒のレーズンウィッチは幸福感の象徴です。

お菓子で言えば福岡銘菓鶏卵素麺(日持ちがしないので県外では殆ど知られていません。鶏卵の黄身と砂糖だけで作られた、黄金に輝くお菓子です)、岐阜名産すやの栗きんとん(おせち料理ではなく、栗100%の和菓子です)もそうでした。いわば「天国のお菓子」という記憶です。未だ日本が戦後復興から間もない頃のことでした。