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雛をしまう

日々雑録

雛人形をしまいました。

草の戸も住み替はる代ぞひなの家

とは、芭蕉奥の細道の旅に出るために庵を引き払った際の発句ですが、以前は単なる挨拶の句だとしか理解できていませんでした。この頃になって、その感慨が身にしみる気がします。

家の住人が代わり、世も変わる・・・この町に住み始めて13年、表通りを歩くと、古くからの通りなのに空き店舗が増え、シャッター商店街という語が頭をよぎります(借地なので地代更新の度に辞退者が増えるのだそうです)。この間花屋は3軒、本屋も2軒閉めました。開いている店も品揃えが少なくなったり、店主が高齢化して元気のいいかけ声が聞かれなくなったり、政府の経済数値発表とは無関係に、街が冷え切っていくような気がするのです。大型量販店へ車で買い出しに行くか、通販で取り寄せるかという生活スタイルが主流になりつつあるのでしょうか。

古い家が取り壊されると、必ずと言っていいほど土地は2~3戸に分割され、桜の木は伐られ木犀の生垣もなくなっていきます。やがて歳月が経てば、そこにも人々の思い出が積もり、幼年期を過ごした家の物語ができるのかもしれません。