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西と東

日々雑録

 「明治工芸展―田中後次のつたえるもの」を観てきました。田中後次は、M4年長岡に生まれ、岡倉天心の教え子として、鋳鉄工芸品を作った人です。s26年に亡くなっています。お孫さんの露木恵子さんのギャラリートークを聴きました。庚申塚に工場を持ち、仏像仏具、レリーフや装飾金具からストーブ、鍋敷、風窓・手摺・郵便受などの実用品まで製造していたそうです。三菱一号館の装飾金具、東大図書館前の噴水塔、丸の内ビルのお守りとして壁に埋め込まれていた観音像(現在も三菱地所でお祀りしている)、東本願寺函館別院屋根の鳳凰、日銀やアメリカ大使館の建物の装飾金具なども彼の作品。古い洋館やビルが取り壊されるともう錺金具は残らなくなる、今のうちに記録を、と奔走しておられる露木さんを声援したくなりました。 

 ふだん気にしていない建物金具類ですが、例えば桂離宮の釘隠などは立派な美術品です。明治大正の職人たちが、西洋を手本に和風テイストを交えて、苦心しながら造りあげた独特の工芸品とその下絵の展示です。横光利一の「旅愁」の中に、上野の国立東京博物館が建てられた時、西と東の混交スタイルが話題になったことが書かれていて、こういう話題を語り合う男女に、10代の私は新鮮な驚きを感じました。

渋谷区松濤2丁目のギャラリーTOM(03-3467-8102)で2月2日まで。28日午後にもギャラリートークがあります。