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源平の人々に出会う旅 第3回「京都市伏見・城南離宮」

鹿ヶ谷の変以後、反平家の動きが活発になると、清盛は福原(神戸市)から軍勢を率いて上洛し、太政大臣以下40余人を解官、関白藤原基房を備前へ配流、後白河法皇を鳥羽殿(城南の離宮)へ幽閉します(治承三年(1179)の政変)。【城南宮】 鳥羽殿は白河・鳥…

春霞

東京の春は午後から曇る、という書き出しで作文を書いてひどい点を貰ったことがあります。高校時代、英語の教科書で教わった「意識の流れ」という手法を試みた心算だったのですが、国語教師からは趣旨不明瞭な文章との批評を頂戴しました。今でもこの季節に…

雛をしまう

雛人形をしまいました。 草の戸も住み替はる代ぞひなの家 とは、芭蕉が奥の細道の旅に出るために庵を引き払った際の発句ですが、以前は単なる挨拶の句だとしか理解できていませんでした。この頃になって、その感慨が身にしみる気がします。 家の住人が代わり…

発表要旨

3月19日の明翔会第2回研究報告会の発表要旨です。たいへん広範囲な分野にわたる報告会なので、どれか関心のある部会だけでも参加して頂ければ幸いです。会場は駿河台記念館(千代田区神田駿河台3-11-5)。 ■第一部会 美学・美術史■ 9:10―11…

明日へ翔ぶ

人文系大学院生の論文19本を収めた論文集『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点―』第4集ができあがりました。全458頁。主な内容は以下の通りです。お問い合わせは風間書房(電話03-3291-5729)まで。 口絵(松尾金藏)「武漢の風景」、「卓上静…

誰と「ともに読む」のか

1年近くかかって『ともに読む古典』の制作が峠を越えました。なぜこの本を出そうと考えたかというと―近年、文学教育の危機が叫ばれ、メディアや学会はそれぞれに努力をしているものの、現場の教員や生徒たちにどれだけ役立っているか、その琴線に触れること…

ともに読む古典

古文を教える現場教師、ちょっと背伸びしたい高校生、孫が何を教わっているか知りたい祖父母、そして、かつて古文は苦手だった大人のあなたへ! 3月18日刊行予定。 松尾葦江編『ともに読む古典 中世文学編』(笠間書院) A5判・並製・カバー装・336頁 ISB…

雅楽・声明(しょうみょう)

上野学園大学日本音楽史研究所から、レクチャーコンサートの御案内を頂きました。唐楽(解説はスティーヴ・ネルソンさん)と真言宗豊山派の声明(解説は新井弘順さん)の2部構成。3月22日の夜、会場は上野学園石橋メモリアルホール、入場料¥2500だ…

帝都

久しぶりに上京した友人と新丸ビルで待ち合わせして、ゆっくりランチを摂りました。高層ビルの隙間から皇居の櫓が見えます。明後日の東京マラソンのゴールが、今年からこの辺になったとの噂をしながら、オールドスタイルの洋食を味わいました。 初めて皇居前…

春の野菜で一献

タラの芽が安くスーパーに出ていたので、つい買ってしまいました。天麩羅が一番美味しいようですが、今どきのタラの芽は栽培なのでアクが少なく、料理法が広くなっています。洗って根元の堅い部分を削いだら縦二つ割り、刻んだベーコン少しと、柔らかくする…

傾聴

大学図書館で新着図書を漁り読みしているうちに、「浅草寺仏教文化講座」60号(非売品)に載っている、金田諦應さんの傾聴移動喫茶レポートが眼に留まりました。東北大震災の後、軽自動車で喫茶店を開き、人々の話を聴くボランティア活動をした僧侶の体験…

分かりやすいということ

国文学の本が売れない、版元は今や危機に瀕している、分かりやすく売れる本でなければ出せない、と言われ続けています。「売れる」かどうかはともかく、「分かりやすい」本とはどんなものなのでしょうか。ですますで書く、表紙やイラストにマンガをつかう、…

なぜ57577愛

必要があって、錦仁編『日本人はなぜ、57577の歌を愛してきたのか』(書名が長すぎる!ごぶれいして略させていただきます)を取り寄せて読みました。和歌をもっと身近に、というキャンペーンの一環として企画され、研究者10人と実作者4人の「エッセ…

金平糖

そろそろ雛飾りの用意をする時期になりました。手狭の我が家では大内塗の親王雛だけを飾り、定番の桃の花のほかにロゼワインの小瓶(白酒の代わり)、金平糖(雛あられの代わり)を並べます。ギリシャ土産の蛤1対(紫の染料を採る貝だそうです)はオプショ…

つくも神

区役所が未使用食器の回収をする日なので、何箱か持って行き、小さな石鹸を貰って帰りました。家具・器物類の整理をした日は何故か眠れません。殊に陶磁器には不思議な存在感があって、家に古くからあった品を手放す時は、人との永訣のような疲労感が残りま…

パンを買いに

パンを買いに行きました。パン屋と本屋と花屋は、いい店のある町に住みたい。そう思っています。幸い、隣町まで行けば美味しいパン屋があるので、1週間分のパンを買って冷凍します。仏蘭西人の友人が言うには、「昨日のパンは、日本で言えば冷や御飯のよう…

染付

所用の後、根津美術館へ寄って「染付誕生400年」展を見てきました。主に江戸前期の肥前の焼物です。寛文延宝頃、整版本や奈良絵本の出た時代の文化が、自分の中でぼんやりとかたちを取り始めました。若い頃は染付のよさが分からず、漬物皿くらいに思って…

剣の名

「国語と国文学」3月号が出ました。昨年5月4日に亡くなった三角洋一さんの追悼記事が載っています。愛妻美冬さんの文章に心を打たれました。「ひとつひとつの作品と時代を丁寧に考察して、その間のつながりを明らかにしていくというのが」、彼による物語…

虚像を剥ぐ

曽我良成さんの新著『物語がつくった驕れる平家』を読みました。平家物語は永く日本人の中世史観に影響してきて、我々は今なおいくつもの思い込みに囲い込まれている、との指摘は重要なものです。貴族の漢文日記を読み解きながら、「平家に非ずんば人に非ず…

赤い実

バスで街を走ると、街路樹の水木の実がなくなったことに気づきます。鳥たちが食べたのでしょう。鳥の眼には赤色が最もよく見える、という話を聞いたことがありますが本当でしょうか。彼等にも好みがあるらしくて、南天・千両・ピラカンサスと、順を追って無…

紀元節

鳥取は三十数年ぶりの大雪のようです。知人から玄関先が雪山になった写真が送られてきました。 雪の降る特異日というのがあるのかどうか、気象学上のことは知りませんが、12月14日(赤穂浪士討ち入りの日)、同24日(クリスマスイヴ)、1月15日(セ…

もう一つの平家伝説

平家物語に登場する人物には、何故か故郷や配流先で農業に貢献したという話が伝わっていることが少なくありません。平家側とは限らず、以仁王の乱で奮戦した信連(長谷部信連)も、配流先の伯耆国(鳥取県)日野では地元の農業振興に関わったと伝えられてい…

祇王寺

祇王寺は桜の樹高が高すぎて、庭の苔に散り敷いた落花を楽しむ寺です。近くの瀧口寺では、丸窓の障子に映った花の影を楽しむのだと案内された記憶があります。人少なの時間に独占的に味わいたい情趣ですが・・・ 徒然草には「散りしをれたる庭」(137段)…

源平の人々に出会う旅 第2回「京都・祇王寺」

【祇王寺】 都に祇王・祇女という白拍子の名手がいました。清盛は祇王を寵愛していましたが、ある時、仏御前という名手が現れ、祇王の取りなしで清盛に舞を披露しますが、清盛は仏御前に心を移し祇王を屋敷から追い出してしまいます。最終的に祇王は出家し、…

イノベーション

劇的に進歩したものを野菜・果物類で挙げるならば、菠薐草と金柑だと思います。子供の頃の記憶とはまるで別物のよう!殊に「縮み菠薐草」の名前で店に出ているものはアクがなく、新しければそのままサラダにできる。かつて親から「好き嫌い言うな」と叱られ…

太平記の論

和田琢磨さんの論文「乱世を彩る独断―『太平記』の天皇たち-」(『東洋通信』53:6)を読みました。太平記は序文に、名君と良臣によって国は保たれる、という、これから語る物語の枠組を示しているにも拘わらず、登場する天皇はすべて、臣下の意見を聞き…

実生の桜

冬の間に桜の枝皮を煮出すと桜色の色素がとれるという話を染色の専門家が書いていました。もう、木は準備万端なのでしょうか。我が家の鉢には1・5mくらいの桜の木が植わっています。歩道柵の釣り鉢に芽生えた桜が不憫で、こっそり雛菊の苗と植え替えたの…

高畠華宵の月

寒さは厳しくても日脚が延び、残照から黄昏にかけての空に、早春への期待を感じます。遅くなった買い物に出ると、宵の明星と三日月が藍色の空に鋭く金線を象眼していて、私はこういう三日月を、ひそかに「高畠華宵の月」と呼ぶことにしています。子供の頃、…

文系大学院生の奨学金

平成29年度の公益信託松尾金藏記念奨学基金の公募が始まりました。今回から、ウェブ上で募集要項を見たり応募書類の様式を入手したりすることができるようになりました。大学推薦ですので、応募を希望する学生の方は、4月から所属する大学院事務室に御相…

白拍子

研究会で落合博志さんの発表を聴きました。タイトルは「白拍子と中世文学」。白拍子という芸能が実際どういうものだったのか、中世文学にはどのように登場するかを、例によって博捜した資料を駆使して、お話し下さいました。 落合さんはレジェンドの人です。…

3月19日

明翔会のコーナーでお知らせしているように、3月19日にお茶の水の駿河台記念館で、人文科学系新進研究者の研究報告会が行われます。研究発表10本、講演1本と、ぎっしり詰め込まれた企画です。来聴歓迎、参加自由。幅広い内容ですが、どれか1本でも関…

食生活の変化

近くのスーパーに春野菜がどっと出ました。独活、蚕豆(鹿児島産)、絹さや、菜の花、アスパラガス、クレソン、ラディッシュ、プチヴェール・・・どれも酒の肴に最適。年齢を重ねると共に、肉だけでなく魚介類へと食生活が変化し、さらに野菜で酒が呑めるよ…

共同討議終了、単行本化へ

武蔵小金井の東京学芸大学で、共同討議「文学研究に未来はあるか」が行われました。内容は12月4日の講演と併せて、この秋に笠間書院から出版されます(「お知らせ」参照)。口承文芸の野村敬子さんにお会いしました。講師の一人、錦仁さんに、雪国は大変…

偶然の出会い

買い物帰りに交差点ですれ違いざま、旧知の上田正行さん(德田秋声記念館館長)に呼び止められました。金沢在住のはずなので吃驚。東大へ集中講義に来て、今日が最終日だそうで、短く近況を交換して別れました。連れておられた学生たちの顔があかるくて、楽…

小秋元段主催 朝鮮活字版研究ワークショップ

法政大学の小秋元段さんから、以下のような通知が来ました。 先日、印刷博物館を見学してきたばかりなので、朝鮮活字の研究にもちょっと興味を惹かれます。 ---------------------------- ​​ワークショップ「朝鮮活字版研究の最…

雪国

大雪の智頭がTVニュースに出ています。智頭は杉林に囲まれた町。古い街道に沿った町並が静かで懐かしい雰囲気を醸し出します。満天星(どうだんつつじ)という名の地酒もあったはず。しかし雪に降り籠められたら大変です。この時期、ノーマルタイヤで乗り…

歌留多

そろそろ年度替わりの準備に忙殺される時期になりつつありますが、今年の我が家の正月を演出してくれた2点をご紹介します。 まず平野多恵さんの『歌占カード 猫づくし』(夜間飛行 2016/11 絵・遠藤拓人)。神託は和歌の形で伝えられる、その名残で…

西と東

「明治工芸展―田中後次のつたえるもの」を観てきました。田中後次は、M4年長岡に生まれ、岡倉天心の教え子として、鋳鉄工芸品を作った人です。s26年に亡くなっています。お孫さんの露木恵子さんのギャラリートークを聴きました。庚申塚に工場を持ち、仏…

菊を焚く

菊を刈りました。昨秋は菊が不作だったようで、蕾は出たが咲かないまま紅葉してしまったのです。天候が合わなかったのでしょうか、山茶花や南天は上機嫌でしたが。緑、黄、赤、臙脂などの葉が入り交じって綺麗だったので、小瓶に活けました。本来なら11月…

東京学芸大学フォーラムが本になります 

『文学をよむ意味 古典編』錦仁・石井正己編 笠間書院 2017年9月刊行予定 文学研究を社会にひらくには―洪水伝説と『源氏物語』石井正己 東アジア文学研究の未来に向けて―宝巻説話の広がり 小峰和明 海外からー韓国語訳される日本古典文学 李市埈 古態論…

源平の人々に出会う旅 第1回「広島県・安芸の宮島」

「義仲に出会う旅」の続編として、「中世文学漫歩」ブログに「源平の人々に出会う旅」の掲載を始めました。引き続き御愛読ください。 伊藤悦子 【厳島神社】 安芸守となった若き日の平清盛は、朝廷から高野山の大塔の修復を命じられます。この時、清盛は霊夢…

明日へ翔ぶ―人文社会学の新世代―

明翔会は、平成14年に発足した公益信託松尾金藏記念奨学基金を受けた奨学生の同窓会です。論集『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点』から命名しました。関東・東海・中国四国・九州の各大学院で学ぶ人文社会学系の大学院生とOBが集まっています。 基金委託…

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しばらく御無沙汰いたしました。 HP「中世文学逍遙」を再開する代わりにブログを始めました。「中世文学漫歩」と題して、現在の私の仕事と、おつきあいのある話題のあれこれとを紹介していきます。 引き続き御愛読頂ければ幸いです。 2017年1月14日…