完食指導

「完食指導」という語があるのを初めて知りました。学校給食で1人前を残さず食べるよう指導(時には強制)することを言うのだそうです。「食育」という語は知っていましたが、完食指導は否定的な響きを伴っているらしく、幼時の体験がトラウマになって、「…

ゴトジンの一夜

昨夜、高木浩明さんが資料調査のついでに、と仕事仲間を連れて来訪。五島ジンを吞みながら4時間ほどお喋りしました。 2人ともジンは初体験らしく、こちらも強い酒をいきなり呑ませていいかどうか分からないので、最初は小さな盃に、石榴酢とスダチ蜂蜜とで…

落合博志最終講義

国文学研究資料館を定年退職する落合博志さんの特別講演「古典の本文と出典・解釈」を、オンラインで視聴しました。大学院時代から半世紀経っているのに、彼は全く変わらないー外観も話し方もその学識も。タイムスリップしたようでした。資料館主催だから講…

國學院雑誌1403号

國學院雑誌3月号が来ました。スピアーズ・スコットさんが「和歌の研究と電子資料」というコラムを書いていて、国歌大観のオンライン検索を例に、作品検索、語彙検索、人名検索のほかに人間関係をグラフ化することもできるようになると、もっと便利になるだ…

殿

福島県の相馬の旧藩主(34代目)が、東北大地震後、復興に尽力した話が新聞に連載されていました(「「殿、ご帰還」再起の福島」朝日朝刊経済欄 2024/03/12~16)。まるで読み物みたいに面白い記事でした。 相馬は騎馬武者が神旗の争奪戦を繰り広げる野馬追…

こちらのQRコードから

NHK-TVの番組を視ていて、最近いらっとさせられるのは、屡々司会者が片手を挙げて「詳しくはこちらのQRコードから」と、平然と言う場面です。我が家にはスマホがありません。しかしNHKの受信料は年間前払いで払っています。NHKとの契約は、スマホがあること…

開花前

東京の桜開花予想は、19日、22日、24日と遅れて行っています。播磨坂へ、買物のついでに花見の下見に行きました。バスを降りて眺めると心なし並木の枝先が桜色にうるんでいるように思いましたが、樹下を歩いてみると蕾の輪郭はくっきりしているものの…

マドレーヌ

最近のTVには他人の生活を見せて貰うドキュメントが多く、ドラマチックな話が結構あります。制作側が意図して盛り上げているのが分かると興ざめですが、偶然そういう話題に辿り着いた場合には、リアル感が増し、印象がつよい。殊にテレビ東京には「車代を払…

信濃便り・山茱萸篇

長野の友人から、写メールが来ました。 信濃の早春 【山麓に住む中学の同級生から、野菜を掘り出したから取りにくるようにとのショートメールが届きました。当地では、冬の期間、保存用に土中に大根などの根菜類を埋める習慣があります。日時を決めて友人の…

『明日へ翔ぶ』最終巻

公益信託松尾金藏記念奨学基金は2002年12月に発足し、03年度以来196名の人文学系大学院生を支援して、来年度で終了します。この奨学金の特典は、基金の報告書を兼ねた論文集『明日へ翔ぶー人文学の新視点ー』(風間書房)に、論文を執筆できるこ…

説明責任

最近、耳にたこができるほど聞かされる語がありますー曰く、説明責任。与党総裁は党員に「説明責任を果たすよう求めていく」と繰り返しますが、一向に効き目がないようです。あんまり頻繁に聞いているうちに、はて、どんな意味だったろうという気になり、ウ…

長門切「三十騎には」

平藤幸さんの論考「新出『平家物語』長門切の紹介と考察」(「国文鶴見」58号)を読みました。この度鶴見大学図書館蔵となった、5行の長門切の翻刻とその考察です。源平盛衰記巻35「粟津合戦」の一部、既出の切(鶴見大学図書館蔵「名乗て懸出」の数行…

102年目の魚屋

父の命日が近いので、花を買いに出ました。この近辺では頼れる花屋がなくなって、不自由しています。週末だけ出す店があって、品数は少ないが花が新鮮なので、まずそこへ行ってみました。黄色いフリージアがある。白か紫ならもっとよかったけど、父の好きな…

2万の星

2017年1月から開始したこのブログに頂いた星の数が、本日2万を突破しました。お読み下さる皆様、声援を送って下さる方々、また時折、素敵な写真を送って下さる方に御礼を申し上げます。おかげさまで見守り機能も果たしてくれており、認知症テストを試…

時計屋

腕時計が動いたり止まったりするので、電池切れにはちょっと早いなと思いながら、春日通り沿いの時計店に出かけました。東北訛りの老店主が修理もする店です。先客がありましたが、開いている時が少ない店(コロナ以来、子供たちからもう辞めろと言われたの…

石母田正がいた時代

評伝『石母田正』(磯前順一 ミネルヴァ書房 2023)を読みながら、かつて見慣れた日本史の学者名が次々出てきて、ああこの人はこうだったのか、と知る例が続いたので、日本史の人は本書をどう読むのか知りたくなり、錦織勤さんに問い合わせメールを出し…

石母田正評伝

磯前順一著『石母田正ー暗黒のなかで眼をみひらきー』(ミネルヴァ書房 2023)を取り寄せて読みました。歴史社会学派の旗手、また名著『平家物語』(岩波新書)の著者として、私と同世代、やや年長の軍記物語研究者たちが敬意と憧憬を籠めてその著作を読…

ジャムを買いに

ジャムとパンを買いに、少し離れた大手スーパーまで出かけました。ともすれば変化のない生活になりがちなので、毎朝のスープ、ヨーグルトに入れるジャム、晩酌の缶麦酒、それにサラダドレッシングをいろいろ探索し、新しい味を試すのをささやかな楽しみにし…

漫画立国

1人の漫画作家の訃報が、世界中で悲しまれているという報道が気になって、ウェブで少々調べてみました。竜の玉7個を集める話は1984年から95年まで、おかしな発明を繰り返す博士が造った少女ロボットの話は1980年から84年まで、いずれも少年漫画…

講談

「日本古書通信」1135号に、目時美穂さんが「音声再生装置としての講談速記」という文章を書いています。明治の半ば頃、大衆紙には小説とは別に、講談の速記が連載され、愛読され、単行本にもなっていた、というのです。明治32(1899)年には東京府下…

アンコンシャス

3月8日は国際女性デーなんだそうで、内閣府のHPには日章旗と大きなミモザの花瓶を背景に、担当大臣の挨拶が載っています。1977年に国連が制定したのだそうですが、遡れば1917年、帝政崩壊に繋がるデモをロシアの女性たちが実施したところからこの日にな…

ジン攻略法

友人から椿の実で香りをつけた五島ジンを贈られてから、呑み方を研究しました。今はリキュールが親しまれる時代になったのですね。私には、ジンは針葉樹の香りのする、透明でむやみに強い、肉体労働者向けの酒、カクテルの材料にすれば都会向けになる、とい…

小さくなる

母国を再び偉大に!というスローガンは、人を熱狂させるようです。しかし弊国で、大きいことはいいことだ、というキャッチコピーが流行ったのは、随分昔のこと。これからは、国土の狭い日本で、産めよ増やせよで右肩上がりの経済成長を維持していけるとは、…

番外編:太平記の人々に出会う旅① 第86回「神戸市・湊川の戦い」

元弘3年(1333)、後醍醐天皇は鎌倉幕府を滅ぼして建武の新政を行いますが、足利尊氏が半旗を翻し、わずか2年半で崩壊します。この時、後醍醐天皇に忠誠を尽くしたのは楠木正成や新田義貞です。尊氏は敗れて一旦は九州まで退いたものの、再起を図り、建武3年…

虹の彼方に

同時代史は断片的、自分が通り過ぎてきた一瞬の記憶だけで綴られているので、何かのきっかけでその背景を知り、愕然としたり、腑に落ちたりすることが多い。このブログを書くために調べてみて、へえ~そうだったのか!と驚くこともよくあります。 子供の頃、…

東京マラソンの日

朝、轟音を立ててヘリが我が家の上を旋回し、ホバリングしたりしてうるさいなあと思ったら、今日は東京マラソンだったのでした。人数が多いだけでなく、五輪代表を狙って走る人もいればコスプレを楽しむ者あり、車椅子参加者もいるという具合で、運営する方…

辻井伸行に教わったこと

ドキュメント番組「辻井伸行×ハワイ」(BSフジ)を視て、考えることが沢山ありました。彼の海外ツアーを追うドキュメントは年末恒例番組だったのですが、久しぶりで視たら、童顔ながら肉付きのよい中年にさしかかり、手引きも若い人に交代していました。幼…

少子化の理由

韓国の少子化は最近速度が上がったらしく、その理由を推測した報道を読むと、日本でも同様だという気がします。政府は子育て世代に降り注ぐように金銭的補助をしようとしていますが、エノキさんによれば、出産年代の友人たちは、¥50万貰ったくらいで子供…

古活字探偵14

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖」14(「日本古書通信」1135号)を読みました。「横山重と古活字版五経」という題で、コレクターとして有名だった横山重氏の逸話を取り上げています。 表紙が最初に付けられたまま(原装本)か付け替えられた(改…

給湯器

20年目の給湯器を交換しました。マンション指定業者に電話で申し込んだところ、受付の女性が、下見に行く前に機体の写真を撮って送れと言う。今どきやたらに住居の写真を渡すのもメールを送るのも不安だし、こちらは素人なのでどの部分を写せばいいのか分…