日々雑録

彩雲

昨日の午後、ふと窓外を見上げたら、曇天の一部が微かに色づいていました。赤、黄、青3色の帯が描く円の断片です。中世なら、誰かが往生した徴と記録されるかも、と思いながら眺めました。雲の中の水滴に陽光が当たって、虹の断片ができたのでしょう。 夜の…

豊後便り・公園散歩篇

別府暮らしの友人から、写メールが来ました。 別府公園の紅梅 【家から1~2㎞ほど坂を下った所に、別府公園という大きな公園があります。外周が2.4㎞程度で、内側の周回道路を一周すると約1.5㎞あります。入り口から一番奥のあたりまでの高低差が40mぐら…

とは言わんけれども

ギャングスタイルで失言を連発する政治家は、「そんなに美しいとは言わんけれども」云々と現外相を持ち上げた(つもりの)発言を撤回したようです。当の女性政治家は「どのような声もありがたく」とかわし、SNSは喧々囂々だったそうで、我が家の購読紙の川柳…

五島ジン

朝、郵便小包が来ました。五島列島の醸造所からです。別府で悠々自適の友人から、愛妻旅行で五島へ行った際に気に入ったので送った、という葉書が来ていました。特産の椿の実を利用して作ったジン、レアものらしい。17種の植物と島の水に拘って作ったとい…

林檎と雪

林檎を煮ました。先月は林檎3個と柚子1個、それにドライプルーン1袋、ちょうどよい甘さになり、あちこちへ分けたらすぐなくなりました。今回は林檎3個半にレモン1個、ドライプルーンは1袋。酸味が効いて、甘さはちょっと足りない気がしましたが、来客…

体験的電子事情・メルアド変更篇

マンションが光回線に換えるに伴ってプロバイダーを変え、20年使ってきたメールアドレスを変えなければならなくなりました。我が家では別に不自由していなかったので、回線を換える必要はなかったのですが、最新設備を求める男性たちと総会で激論になり、…

生命力

野菜は2,3日分一緒に洗って、タッパウェアに詰め、冷蔵庫に入れておくことにしています。昨日、菜の花を炒めようと思って容器の蓋を開けたら、ふわりと黄色い花手毬が起ち上がりました。洗った時は蕾だったのですが、知らぬうちに咲いてしまったようです…

攻防戦

風花が舞いそうな冷たい1日。健診結果を聞きに、かかりつけ医の許に出かけました。ここでまた強引に服薬を勧められたら、今さら医者を換えるわけにはいかないし、がつんとやるしかないか、でも、彼ももう医師としてのやり方を変えることはできないだろうし…

金魚坂

エノキさんから、金魚坂が閉めるんですってね、と教えられました。そう言えば、一時は金魚釣りで賑わっていた(子連れの若いパパたちが多かった)のに、年末からひとけがなくなり、周辺が散らかったりしていたなあ、と思って、見に行きました。狭い小路で金…

山上憶良

多田一臣さんの『山上憶良』(花鳥社 2023/12)を読みました。「生きる意味を問い続けた歌人の表現思想」という副題で、憶良の全作品を(やや幅広く認定)、およそ年代順に配列し、評釈を加えた歌人伝です。親切にルビが振ってあり、古文には全て現代語訳が…

感性と視点

政治家の失言は講演会で出ることが多いようです。話を面白くしようというサービス精神か、ここではオレが王様と思う故なのか。尤も絶えず失言をしている人もあって、ギャングスタイルの似合う、九州出身の老人はまさに百連発。現在の外相に言及して「俺たち…

国立劇場

国立劇場が建て替えのため2029年まで休館、ところが工事の入札は2度も不成立、というニュースは知っていましたが、NHK-ETVで昨秋の俳優祭が放映されたのを視ながら、考え込んでしまいました。この分では果たして再開できるかどうかも怪しい。国立劇場創…

翁の世界

東大中世文学研究会第351回にオンラインで参加しました。4年ぶりの新年会だそうで、発表は松岡心平さんの「翁の発生ー歴史的にー」、ハイブリッド方式なので、オンライン参加は16名でしたが、会場は盛会だったようです。 予め配信されたレジュメは手書…

老年医学

寒風の中、区の健診を受けるためかかりつけ医に出かけました。開成高校出身の胃腸専門医です。ちょっとでも基準値を超えているとしつこく服薬を勧めるので、5日間断酒して準備しました。ところが3日目に腹痛、軽い下痢・・・酒なしだとどうしても食べる速…

リンカーンが、40過ぎたら自分の顔に責任がある、と言った話は有名ですが、このところ、TV画面に大写しになる顔にうんざりしています。 愛知3区のオジサン、長崎3区のジイサン、かつて新幹線の駅を自分の故郷に造らせ、駅前に巨大な銅像が建っている人の…

新たな教訓

お宅の水道栓は、上から押すタイプですか、押し上げるタイプですか?リノベーションされたマンションでは時折、前者のままになっていることがありますが、じつは阪神大震災の時、押し潰された家屋の水道栓が開いたままになって止められず、その教訓から押し…

能登を懐う・3

昨夜、夕食後半ばうとうとしながらTVのリモコンをいじっていたら、「重機の達人」やら「職人魂」やら、大仰な字幕入りの画面が出てきました。重機の操縦士がインタビューに答える言葉が耳に留まり、暫く視る気になりました。どうやら土木工事によく使われる…

健康観察

午のニュースの後、広島から男子都道府県対抗駅伝の中継が始まりました。平和祈念公園や宮島があるコースなので、手仕事をしながら視ました。NHKの中継は沿道風景をあまり映さないのが不満ですが、スタートから首位を走る、長崎県代表選手の姿勢のよさに見惚…

冬野菜を食べる

金柑の進歩に驚愕した話は以前、このブログに書きました。トマトと金柑は、私たちの世代から見ると、往年のそれとは別物のようです。品種改良は日進月歩らしく、葉菜類ではさほど目立たないものの、菠薐草も昔ほどアクが強くなくなりました。最近感心したの…

能登を懐う・2

マンション階上の老婦人とEVで遭って、挨拶しました。毎春桜を訪ねて旧友と旅行する、という女社長です。能登は大変らしい、という話がEVの中で終わらず、玄関前で立ち話になりました。みんな金沢ばっかりに行くけど、能登は海も山もあって、魚が美味しくて…

阿波国便り・年始篇

徳島の原水民樹さんから、初日の出の写真と共にメールが来ました。年賀状代わりの写メールです。 徳島の初日 【初詣には為朝を祭神とする、美馬市穴吹町の白人神社を目指しましたが、道半ばで疲れてしまい、吉野川堤の散歩に切り替えました。私はゆっくり走…

あくまで個人の感想です

久しぶりにセンター試験(今は大学入学共通テストと言うらしい)の、国語の問題を覗いてみました。現代評論、現代文学、古文、漢文の4題であることは変わっていませんが、現代文2問の文章量(関連資料や選択肢も含めて)の多さにまず吃驚しました。率直に…

冬本番

正月の花も残り物の食材もそろそろ尽きてきました。焼餅はバターを載せて海苔巻きにすると美味しいのですが、我が家はバターをやめたので、今朝は洋風雑煮。マギーブイヨンのスープに、合鴨スモークと博多葱と焼餅を入れました(オニオンコンソメでもよし、…

選歌、評釈

季刊の歌誌「玉ゆら」83号(2024新年号)が出ました。比較的高年齢の女性の同人が多いらしく、詠作には介護や老いを歌ったものが多く見いだされます。日常詠が大量に並ぶと、率直に言って1文31字の散文形式と殆ど変わらないなあ、という感があり、…

能登を懐う

能登へは、かつて2度ほど旅しました。能登半島を2日がかりで1周する観光バスがあって、途中の1泊はどこでも自由、翌朝決められた場所に定時に行けば乗り継げる、というコースです。 1度目はほぼ半世紀前。平家物語で以仁王を逃がすために孤軍奮闘した長…

山城便り・年始篇

定年後悠々自適の錦織勤さんに、伏見の正月はどうだった?と訊きました。 【昨年の正月3日は帯状疱疹を発症して苦しんだのですが、年末からの飲み過ぎが原因だったのではないかと(家族には言わず)秘かに反省し、今年はできるだけ飲まないように、と考えて…

1926年前後の柳田国男

伊藤愼吾さんの「1926年前後の柳田国男の物語・語り物研究とその反響ー「東北文学の研究」をめぐって」(『接続する柳田国男』水声社 2023)を読みました。 柳田国男の『雪国の春』(1928)、『物語と語り物』(1946)、『口承文芸史考』(1947)は軍記…

気づかれぬ落差

能登大地震の被害状況はなかなか全容が掴めず、報道機関も苛立っているようですが、あの東北大震災の時もこうだったのだろうか、と今になって思います。当時は日々の予定をこなしていくのに精一杯で、被害の規模や全容は受動的にしか意識できませんでした。 …

信濃便り・床の間の花篇

長野の友人が、正月に床の間に活けた花の写真を送ってきました。 正月の床の間 自宅の庭先から剪ったのだそうで、花屋を探すのに苦労する都市生活とは違います。ちなみに本郷通りの老舗の花屋は、今年は30日から1月8日まで、まるまる休業(フィギュアス…

始動

米国から2通、電子年賀状が届きました。40年前の教え子安宅正子さんからは、アイスランド人の夫と娘2人の報告も交えたニューズレター形式(家庭新聞)でした。 大学2年生の長女は副専攻で救急医療を学び、まもなく級友とアパート暮らしの予定。高校最後…