日々雑録

待ちわびて

九段の桜が咲き、東京の開花宣言が出てから、毎朝、長泉寺へ咲き具合を見に行きます。山桜、染井吉野、八重桜と3本ある桜の咲き具合です。今は辛夷と木瓜が満開、老木の山桜が1分咲き。先代住職の奥さんの話では、終戦の焼け跡にあったのは若木の山桜だけ…

おきゅうと

福岡の従姉から、おきゅうとが来ました。おきゅうとは、エゴという紅藻で作った、博多のソウルフードと言われる食品です。知らない人に説明するのはなかなか難しいのですが、ところてんの透明でない、やや重いものを想像して貰うと近いでしょう。きしめんの…

ムスカリの受難

葡萄ムスカリが花房をもたげています。蕾が見え始めてからもなかなか伸びないのに、ある時点までくると一気に青紫の花房を捧げて、自己主張します。 もともと小学校の塀の下に植えてあった球根が、霜でむき出しになったり、野蒜と間違えて抜き捨てられたりし…

渋谷の夜

昼過ぎに大学図書館へ出かけ、気になっていた本をあれこれ拾い読みしました。手に取ったのは―『徒然草への途』(荒木浩 勉誠出版 2017)、『徒然草の17世紀―近世文芸思潮の形成―』(川平敏文 岩波書店 2015)、深澤徹「慈円『愚管抄』」(岩波講座…

東横線沿線

東横線沿線の用事を3つ、果たすために出かけました。久しぶりに日比谷線に乗ったのですが、50年前に通勤で利用した駅のたたずまいは殆ど変わっておらず、道案内に六本木ヒルズが付け加わっただけ、という感じでした。しかし駅の外は大きく変わり、中目黒…

フリージア

父の命日が近くなったので、花屋に白と紫のフリージアの取り寄せを頼みました。彼の好きな花だったのです。葬儀の時、祭壇用に特注したところ、白と紫、それに差し色の紅がとてもよかったので、毎年探して供えることにしています。ところが近年、花屋に出る…

説話研究を拓く

論集『説話研究を拓く―説話文学と歴史史料の間に』(思文閣出版)を読みました。本書は、国際日本文化研究センターの倉本一宏さんが主宰して、2015~2018年度に16回に亘って開かれた研究会での成果を編んだもののようです。1説話と歴史史料 2説…

本文撮影

村上學さんのエッセイ「国文学研究が肉体労働であったころ」を読みました。 https://kachosha.com/gunki2019031501/ 村上さんは年齢的には大先輩なのですが、いくつもの仕事(企み)を御一緒しました。この分野には伝説的なバイタリティの持ち主が2人いて、…

自動詞

3月14日は、アメリカではパイの日だそうです(円周率に引っかけて)。それで昨日の朝日新聞朝刊に、「パイの日に考える数学」と題するコラムが載り、「正多角形の外周は三角関数を使うと求まる。」という一文があって、引っかかりました。「求める」は他…

震災体験・後日篇

2011年の新学期が始まりました。節電で、地下鉄の車中からは駅名表示が読めないほど照明が落とされ、エスカレーターは停止しました(何故か議事堂前駅だけは動いていました)。大口需要者には節電割り当てが来て、大学は校舎を1棟閉め、教室をやりくり…

震災体験・緊急対応篇

東北大地震の日、春休み中でしたが大学構内には、800人ほどの学生がいました。地域指定の避難所は隣の大学だったのですが、不安を感じた近所の住民がとりあえず訪ねて来るのを受け入れました。防災備蓄の乾パンと飲料水を提供したのはよかったのですが、…

震災体験・翌日篇

2011年3月12日の朝、地下鉄を降りて歩いていたら、春日通りの向こう側から、呼び止められました。前日、印刷物を納入するはずだった業者は、我が家の下に荷を積んだワゴン車を止めて夜を明かしたのだそうです。帰社するには多摩川を渡らなければなら…

震災体験・当日篇

2011年3月11日の午後2時過ぎ、私は渋谷校舎の半地下の会議室にいました。その日は、年度最後の大学院の教授会でした。会議途中で、遠くから近づいてくるような轟音の後、地震がやってきました。とっさに、あっ、これは遠いけど大きいな、と思いまし…

オリーブオイル

朝食のバターをやめて、オリーブオイルに変えました。1日2匙のエクストラバージンオリーブオイルが健康にいい、としきりに言われていますが、とうていそんな量の油を舐めることはできないので、パンにつけることにしたのです。 初めてレストランで小皿に入…

徒然草の誕生

中野貴文さんの『徒然草の誕生―中世文学表現史序説』(岩波書店)を読みました。久々に「文学とは何か」を意識した正統派の、しかも(片仮名用語をむやみに振りかけてぎらぎらさせるような)背伸びをしていない評論を読んだ気がします。 本書は、序章「随筆…

千の星

このブログを始めてから、約2年と2ヶ月が経ちました。当初は2年限定の心算でしたが、もう少し、無理のない範囲で続けるかな、と考えるようになりました。 この間、コメントを書いたり、星をつけてお励まし下さった方々に御礼を申し上げます。星の数は、昨…

出題

在職時代、いわゆる「読書」は殆ど出来ない日々が永く続きました。仕事に必要なものを読むだけで手一杯だったのです。しかし、そんな生活の中で、夏休みには、専門外の新刊書を漁る時期がありました。入試には、大抵のところで国語が必修です。日本文学の教…

湯島をめぐる会話

昨日、税務署の順番待ち行列で、見ず知らずが交わした会話―私の前に2人のおばさん、後ろに1人のおばさん、その後ろにおじさん(女性たちは60代、男性は70代と見受けました)。いずれも自営業らしく、男性はもと煙草屋で、スキーが趣味、と自己開示し、…

ちゃんと使ってよね

税務署へ確定申告に出かけました。今年は(収入が少なく)単純なのですが、例年、手書きの申告書の検算をして貰ってから、提出することにしているのです。もう40年来の習慣です。自分にとっては抽象的な数字ばかりですから、途中で数字を間違えると最後ま…

二代の雛

雛人形を仕舞いました。大小いろいろな人形の中から、今年は2組選んで飾ったのですが、もうそんなに永く飾れないのだから、来年からは手間を惜しまずに出してやろうと思いました。 紙と土と、竹や藁で作った山陰地方の流し雛もあります。もともと祓の人形(…

転換する文法

吉田永弘さんの『転換する日本語文法』(和泉書院)という本が出ました。本人は30代で単著を出す計画だったようですが、学内ではやくから、若いけどしっかりしている、という評判が立ってしまって、校務に逐われ、ようやく実現したようです。それゆえ、今…

タネツケバナ

トイレと洗面台には何かしら、生花を飾ることにしています。最近は花屋の花が高くなり、種類も限られてきてつまらないので、ベランダの手入れをする際に、心ならずも折れてしまった小枝などを活けて、楽しんでいます。鳥や風が運んできた種子で野草が生え、…

義経伝説と為朝伝説

原田信男さんの『義経伝説と為朝伝説―日本史の北と南―』(岩波新書 2017)を読みました。ツンドクの山を崩して読んだのですが、オキナワや北方領土交渉等、問題続出のこの頃、思い当たることが多く、アイヌに対しても琉球に対しても、中央政府のやってき…

グリコ的修辞法

製菓会社の子育てアプリと称する宣伝活動が、問題になっています。共同子育てには、妊娠期からの夫婦間のコミュニケーションが必要、というコンセプトは万人が肯定するでしょう。しかし男性脳・女性脳の相違、という非科学的な説明ですべてを解決しようとし…

226の兵士

42年前、公立高校には専任の用務員がいて、教員が出校するとお茶を出してくれました。2校目で赴任した定時制高校の用務員さんは、剣道七段という男性でしたが、二・二六事件の一兵卒だったと名乗り、いま生存者たちと共に、記念碑建立に奔走している、と…

犬の散歩

我が家は机を東向きに置いているので、夕方の、ある時間になると、ビルの窓に反射する夕陽が眩しく、仕事になりません。そこで買い物に出かけることにしているのですが、ちょうどその時間が犬の散歩タイムらしく、大小さまざまの犬種とその飼い主に遭います…

緑の蛇

先輩の粂川光樹さんの御遺族から、葉書を頂きました。訃報は出版社のツイッター等で知っていたのですが、奥様の後を追うように、同じ年のうちに亡くなったのだということを知りました。 40年以上前、横浜のフェリス女学院大学の講師室でお会いして、粂川さ…

湯島の白梅

湯島天神へ梅の花見に行きました。久しぶりに上京した友人と、ゆっくりお喋りするのが目的です。湯島天神の境内は狭いので、ごった返していました。白梅はほぼ満開、紅梅も数本、桃色の枝垂れ梅が2本ほど咲いていました。遅咲きで蕾だけの木もあります。昔…

グレープフルーツ

グレープフルーツの輸入が自由化されたのは、1971年のことです。それまでは超のつく高級果物でした。 我が家には、「◯◯屋のグレープフルーツ」という言い習わしがありました。亡父が現役時代に、日本橋に本店のある高級果物店へ、目上の方への病気見舞い…

はっさく

はっさくを買ってきました。仏壇用なので、1個か2個でいいのですが、何故かはっさくはネット入りで売られています。もう重い物を持てなくなって、はっさくを買った日は、蕪や白菜などは諦めて帰って来るしかありません。亡父は柑橘類が好きでしたが、中で…