読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

卒業

今日は近所の小学校の卒業式だったようです。校門前を通りかかったら、隣家のお父さんから照れながら挨拶されました。ここへ越してきてすぐ生まれた男の子が、もう卒業。きいきい泣いてうるさかったのが、エレベーターのボタンを押して待っていてくれるよう…

武者は自転車に乗って

『ともに読む古典 中世文学編』が出来ました。笠間書院の新刊予告で冒頭の6頁を試し読みできます。そろそろ春休みに何を読もうかとお思いの先生方が手に取れるように、という日程で進めてきたのですが、本は出来たものの流通網に載せるのに手間取って、店頭…

古唐津

出光美術館へ古唐津展を観に行きました。180点近い展示品は素晴らしく、唐津(からつ)にもいろいろあるのだということが分かりました。殊に絵唐津柿文三耳壺(柿の木を描いた壺)や絵唐津葦文四方口向付(葦を描いた食器)など、ささっと描かれた渋い鉄…

横川唐陽、森敦

雑誌「解釈」の1・2月号の研究余滴「半井桃水と横川唐陽」(佐藤裕亮)を読みました。漢詩人横川唐陽(実名徳郎 慶応3~昭和4)は陸軍の軍医を勤め、森鴎外とも交遊があった人です。佐藤裕亮さんにはすでに『鴎外の漢詩と軍医・横川唐陽』(論創社 2016…

天国のお菓子

お土産に小川軒のレーズンウィッチを頂きました。子供の頃、父が持ち帰って食べさせてくれた時は、世の中にこんな美味しい物があるのかと思いました。今では似たようなレーズンサンドクッキーがあちこちで出ていますが、当時は小川軒だけ、1日に作る数も限…

桜の代替わり

ネットを調べたら、実生の桜を育てている人は多いのですね。やはり日本人にとって桜の木は特別なんだ、と今更のように感心しました。 宇都宮に勤めていた頃、図書館増築のため大島桜の古木が伐られることになりました。惜しんでも保存はできないとのことで、…

白描絵巻

櫻井陽子さん・鈴木裕子さん・渡邉裕美子さんの共著(校正は鶴巻由美さん)『平家公達草紙』(笠間書院)を読みました。平家公達草紙は白描絵巻の一部が残っている3種の掌編物語の断片ですが、この本は編者たちと編集者が楽しみながら作った本です。源氏物…

平家物語の流動

多ヶ谷有子さんの論文「アスコラットの乙女と有子内侍」(関東学院大学英語文化学部会誌OLIVA23)を読みました。アーサー王物語の中で騎士ランスロットに叶わぬ恋をするアスコラットの乙女の物語と,源平盛衰記及び南都本平家物語の有子内侍入水記事…

大学教育の実用化

必要があって、日比義高さんの『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房)を取り寄せて読みました。ブログから生まれた本だそうです。 平成3年の大学設置基準大綱化の時、私は未だ現役でしたがちょうど転任したので、押し寄せる激浪の中で揉まれな…

朝の楽しみ

朝食はパン食です、朝に米食を摂ると終日体が重い気がするので。スープと果物とソーセージ、それに開腹手術をして以来必ずヨーグルトを。入院したときに辛かったのは、朝、きりっと冷えた新鮮な果物を丸1個、という習慣が崩れたことです。誰にでも、そうい…

あるく球根

本2冊の編集・校正が終わり、我が家の鉢の草花にも目が行くようになりました。葡萄ムスカリが咲き始めています。何故か葉が長く伸びてしまうので、饂飩の中から顔を覗かせた小蝦のような感じですが、冴えた青紫の花房が可愛い。 ムスカリは1年でたくさんの…

中世物語資料と近世社会

伊藤慎吾さんの『中世物語資料と近世社会』(三弥井書店)が出ました。中世の物語、殊に草子や絵巻として制作されたものたちが、近世になって社会の中でどのように継承されていったかを考察した、528pという大部の本です。伊藤さんはすでに『室町戦国期…

近世寺社伝資料

『近世寺社伝資料『和州寺社記』・『伽藍開基記』』(和泉書院)が出ました。近世初期に成立した、大和及び畿内諸国の寺社縁起集成2本を翻刻し、解説を付した本です。永く地道な活動を続けて来た神戸説話研究会の活動成果ですが、こういう出入り自由な研究…

確定申告

税務署へ確定申告書の検算・提出に行きました。往きには初めて近距離タクシーに乗ってみました。タクシーに乗る度に、料金制度の改訂後利用者の流れが変わったか、アンケートしてみるのですが、毎度「いやあ、変わらないねえ」という返事です。2km以内で…

春霞

東京の春は午後から曇る、という書き出しで作文を書いてひどい点を貰ったことがあります。高校時代、英語の教科書で教わった「意識の流れ」という手法を試みた心算だったのですが、国語教師からは趣旨不明瞭な文章との批評を頂戴しました。今でもこの季節に…

雛をしまう

雛人形をしまいました。 草の戸も住み替はる代ぞひなの家 とは、芭蕉が奥の細道の旅に出るために庵を引き払った際の発句ですが、以前は単なる挨拶の句だとしか理解できていませんでした。この頃になって、その感慨が身にしみる気がします。 家の住人が代わり…

誰と「ともに読む」のか

1年近くかかって『ともに読む古典』の制作が峠を越えました。なぜこの本を出そうと考えたかというと―近年、文学教育の危機が叫ばれ、メディアや学会はそれぞれに努力をしているものの、現場の教員や生徒たちにどれだけ役立っているか、その琴線に触れること…

雅楽・声明(しょうみょう)

上野学園大学日本音楽史研究所から、レクチャーコンサートの御案内を頂きました。唐楽(解説はスティーヴ・ネルソンさん)と真言宗豊山派の声明(解説は新井弘順さん)の2部構成。3月22日の夜、会場は上野学園石橋メモリアルホール、入場料¥2500だ…

帝都

久しぶりに上京した友人と新丸ビルで待ち合わせして、ゆっくりランチを摂りました。高層ビルの隙間から皇居の櫓が見えます。明後日の東京マラソンのゴールが、今年からこの辺になったとの噂をしながら、オールドスタイルの洋食を味わいました。 初めて皇居前…

春の野菜で一献

タラの芽が安くスーパーに出ていたので、つい買ってしまいました。天麩羅が一番美味しいようですが、今どきのタラの芽は栽培なのでアクが少なく、料理法が広くなっています。洗って根元の堅い部分を削いだら縦二つ割り、刻んだベーコン少しと、柔らかくする…

傾聴

大学図書館で新着図書を漁り読みしているうちに、「浅草寺仏教文化講座」60号(非売品)に載っている、金田諦應さんの傾聴移動喫茶レポートが眼に留まりました。東北大震災の後、軽自動車で喫茶店を開き、人々の話を聴くボランティア活動をした僧侶の体験…

分かりやすいということ

国文学の本が売れない、版元は今や危機に瀕している、分かりやすく売れる本でなければ出せない、と言われ続けています。「売れる」かどうかはともかく、「分かりやすい」本とはどんなものなのでしょうか。ですますで書く、表紙やイラストにマンガをつかう、…

なぜ57577愛

必要があって、錦仁編『日本人はなぜ、57577の歌を愛してきたのか』(書名が長すぎる!ごぶれいして略させていただきます)を取り寄せて読みました。和歌をもっと身近に、というキャンペーンの一環として企画され、研究者10人と実作者4人の「エッセ…

金平糖

そろそろ雛飾りの用意をする時期になりました。手狭の我が家では大内塗の親王雛だけを飾り、定番の桃の花のほかにロゼワインの小瓶(白酒の代わり)、金平糖(雛あられの代わり)を並べます。ギリシャ土産の蛤1対(紫の染料を採る貝だそうです)はオプショ…

つくも神

区役所が未使用食器の回収をする日なので、何箱か持って行き、小さな石鹸を貰って帰りました。家具・器物類の整理をした日は何故か眠れません。殊に陶磁器には不思議な存在感があって、家に古くからあった品を手放す時は、人との永訣のような疲労感が残りま…

パンを買いに

パンを買いに行きました。パン屋と本屋と花屋は、いい店のある町に住みたい。そう思っています。幸い、隣町まで行けば美味しいパン屋があるので、1週間分のパンを買って冷凍します。仏蘭西人の友人が言うには、「昨日のパンは、日本で言えば冷や御飯のよう…

染付

所用の後、根津美術館へ寄って「染付誕生400年」展を見てきました。主に江戸前期の肥前の焼物です。寛文延宝頃、整版本や奈良絵本の出た時代の文化が、自分の中でぼんやりとかたちを取り始めました。若い頃は染付のよさが分からず、漬物皿くらいに思って…

剣の名

「国語と国文学」3月号が出ました。昨年5月4日に亡くなった三角洋一さんの追悼記事が載っています。愛妻美冬さんの文章に心を打たれました。「ひとつひとつの作品と時代を丁寧に考察して、その間のつながりを明らかにしていくというのが」、彼による物語…

虚像を剥ぐ

曽我良成さんの新著『物語がつくった驕れる平家』を読みました。平家物語は永く日本人の中世史観に影響してきて、我々は今なおいくつもの思い込みに囲い込まれている、との指摘は重要なものです。貴族の漢文日記を読み解きながら、「平家に非ずんば人に非ず…

赤い実

バスで街を走ると、街路樹の水木の実がなくなったことに気づきます。鳥たちが食べたのでしょう。鳥の眼には赤色が最もよく見える、という話を聞いたことがありますが本当でしょうか。彼等にも好みがあるらしくて、南天・千両・ピラカンサスと、順を追って無…

紀元節

鳥取は三十数年ぶりの大雪のようです。知人から玄関先が雪山になった写真が送られてきました。 雪の降る特異日というのがあるのかどうか、気象学上のことは知りませんが、12月14日(赤穂浪士討ち入りの日)、同24日(クリスマスイヴ)、1月15日(セ…

もう一つの平家伝説

平家物語に登場する人物には、何故か故郷や配流先で農業に貢献したという話が伝わっていることが少なくありません。平家側とは限らず、以仁王の乱で奮戦した信連(長谷部信連)も、配流先の伯耆国(鳥取県)日野では地元の農業振興に関わったと伝えられてい…

祇王寺

祇王寺は桜の樹高が高すぎて、庭の苔に散り敷いた落花を楽しむ寺です。近くの瀧口寺では、丸窓の障子に映った花の影を楽しむのだと案内された記憶があります。人少なの時間に独占的に味わいたい情趣ですが・・・ 徒然草には「散りしをれたる庭」(137段)…

イノベーション

劇的に進歩したものを野菜・果物類で挙げるならば、菠薐草と金柑だと思います。子供の頃の記憶とはまるで別物のよう!殊に「縮み菠薐草」の名前で店に出ているものはアクがなく、新しければそのままサラダにできる。かつて親から「好き嫌い言うな」と叱られ…

太平記の論

和田琢磨さんの論文「乱世を彩る独断―『太平記』の天皇たち-」(『東洋通信』53:6)を読みました。太平記は序文に、名君と良臣によって国は保たれる、という、これから語る物語の枠組を示しているにも拘わらず、登場する天皇はすべて、臣下の意見を聞き…

実生の桜

冬の間に桜の枝皮を煮出すと桜色の色素がとれるという話を染色の専門家が書いていました。もう、木は準備万端なのでしょうか。我が家の鉢には1・5mくらいの桜の木が植わっています。歩道柵の釣り鉢に芽生えた桜が不憫で、こっそり雛菊の苗と植え替えたの…

高畠華宵の月

寒さは厳しくても日脚が延び、残照から黄昏にかけての空に、早春への期待を感じます。遅くなった買い物に出ると、宵の明星と三日月が藍色の空に鋭く金線を象眼していて、私はこういう三日月を、ひそかに「高畠華宵の月」と呼ぶことにしています。子供の頃、…

白拍子

研究会で落合博志さんの発表を聴きました。タイトルは「白拍子と中世文学」。白拍子という芸能が実際どういうものだったのか、中世文学にはどのように登場するかを、例によって博捜した資料を駆使して、お話し下さいました。 落合さんはレジェンドの人です。…

3月19日

明翔会のコーナーでお知らせしているように、3月19日にお茶の水の駿河台記念館で、人文科学系新進研究者の研究報告会が行われます。研究発表10本、講演1本と、ぎっしり詰め込まれた企画です。来聴歓迎、参加自由。幅広い内容ですが、どれか1本でも関…

食生活の変化

近くのスーパーに春野菜がどっと出ました。独活、蚕豆(鹿児島産)、絹さや、菜の花、アスパラガス、クレソン、ラディッシュ、プチヴェール・・・どれも酒の肴に最適。年齢を重ねると共に、肉だけでなく魚介類へと食生活が変化し、さらに野菜で酒が呑めるよ…

共同討議終了、単行本化へ

武蔵小金井の東京学芸大学で、共同討議「文学研究に未来はあるか」が行われました。内容は12月4日の講演と併せて、この秋に笠間書院から出版されます(「お知らせ」参照)。口承文芸の野村敬子さんにお会いしました。講師の一人、錦仁さんに、雪国は大変…

偶然の出会い

買い物帰りに交差点ですれ違いざま、旧知の上田正行さん(德田秋声記念館館長)に呼び止められました。金沢在住のはずなので吃驚。東大へ集中講義に来て、今日が最終日だそうで、短く近況を交換して別れました。連れておられた学生たちの顔があかるくて、楽…

小秋元段主催 朝鮮活字版研究ワークショップ

法政大学の小秋元段さんから、以下のような通知が来ました。 先日、印刷博物館を見学してきたばかりなので、朝鮮活字の研究にもちょっと興味を惹かれます。 ---------------------------- ​​ワークショップ「朝鮮活字版研究の最…

雪国

大雪の智頭がTVニュースに出ています。智頭は杉林に囲まれた町。古い街道に沿った町並が静かで懐かしい雰囲気を醸し出します。満天星(どうだんつつじ)という名の地酒もあったはず。しかし雪に降り籠められたら大変です。この時期、ノーマルタイヤで乗り…

歌留多

そろそろ年度替わりの準備に忙殺される時期になりつつありますが、今年の我が家の正月を演出してくれた2点をご紹介します。 まず平野多恵さんの『歌占カード 猫づくし』(夜間飛行 2016/11 絵・遠藤拓人)。神託は和歌の形で伝えられる、その名残で…

西と東

「明治工芸展―田中後次のつたえるもの」を観てきました。田中後次は、M4年長岡に生まれ、岡倉天心の教え子として、鋳鉄工芸品を作った人です。s26年に亡くなっています。お孫さんの露木恵子さんのギャラリートークを聴きました。庚申塚に工場を持ち、仏…

菊を焚く

菊を刈りました。昨秋は菊が不作だったようで、蕾は出たが咲かないまま紅葉してしまったのです。天候が合わなかったのでしょうか、山茶花や南天は上機嫌でしたが。緑、黄、赤、臙脂などの葉が入り交じって綺麗だったので、小瓶に活けました。本来なら11月…

トップページ

しばらく御無沙汰いたしました。 HP「中世文学逍遙」を再開する代わりにブログを始めました。「中世文学漫歩」と題して、現在の私の仕事と、おつきあいのある話題のあれこれとを紹介していきます。 引き続き御愛読頂ければ幸いです。 2017年1月14日…