日々雑録

エスカレーター

JRが、エスカレーターは歩かずに、というキャンペーンを始めたとのニュースを知って正直、今頃かよ、と思いました。稼働しているエスカレーターを歩いて昇降する人のために片側を空けておく、という慣行は、1970年代に大阪から始まったそうですが、当初…

砂丘の辣韮

スーパーの店頭にエシャロットが出ていました。よく洗って髭根を落とし、茎をほどよい長さに切って、嘗め味噌かマヨネーズをつけて囓ると、酒肴になります。マヨネーズに味噌か醤油を混ぜたり、一味や山葵を混ぜたりするとより肴らしくなる。強壮剤の風味な…

雪のひとひら

ポール・ギャリコ(矢川澄子訳)『雪のひとひら』(新潮文庫 初訳1975)を読みました。本屋で見かけた時、煮詰まりそうな仕事の予定があったので、合間にクリスマス気分で読むにはいいかも、と思って買って置いたのです。若い頃、読みたいなと思いながら…

桃山の茶陶

思い立って根津美術館へ、「新・桃山の茶陶」を観に行きました。ずっと机にしがみついていると、身体も精神も硬くなってしまって、どんどん劣化していきそうだからです。陽ざしは温かいが風が冷たい。館内は欧州人のカップル、和服姿のおばさまたち(茶道関…

年の瀬

先週あたりから、街は師走の風景になりました。公孫樹の黄葉も遅かったのに、どこが変わったのかと訊かれても困るのですが、物を運ぶ人や取引先を訪ねる人の表情が、年の瀬らしくなったのです。 雨上がりには、濡れた落葉で足が滑るから、と商店街の人たちが…

健康管理

現代は、患者がある程度勉強して、持病についての知識を持たねばならぬ時代になったようです。医者任せにしたければ、大勢の家族が集団で、患者の救命を希う圧力をかけること。そうでもしないと、この病状にはこれ、といったスタンプ的治療を当てはめられ、…

紅葉狩り

郵便局へ行くついでに長泉寺の境内へ寄りました。例年、春に桜を楽しませて貰うので、六地蔵の御前に、我が家で育てた菊の鉢を置いたのです。咲いていなかったら交換しなくては、と見に行ったのですが、ちゃんと咲いていました(この菊はもともと、山門の下…

看護師の涙

先日、東大の臨床死生学の講演会で、患者に死なれた医療関係者の心のケア、という話題が出たとき、会場の空気がぐっと迫るのを感じました。当事者、経験者が多かったのでしょう。同じ頃、TVドキュメントで、救急病院の24時間を追う番組がありました。担当…

字余り

朝刊の川柳欄の1句に、今ぴったり、と大いに共感しましたーあちこちへ討ち入りしたき師走かな。 全くです!消費増税は、あれやこれや姑息なサービスをつけて骨抜きになる。まるで竹鋸で首を切るようなやり方です。どうしても必要なら必要額だけ上げて、その…

赤髪の看護師

一度会ったきりで、忘れられない人があるものです。都立定時制高校の教諭だった頃(40年前)のこと。その高校は男子生徒の半数は自衛隊員で、女子生徒の大半は准看護師(昼は病院などで看護業務を務め、定時制4年間で必要な単位を揃えれば正看護師になれ…

臨床宗教師

東大の臨床死生学・倫理学研究会の公開講演を聴きに行きました。飛騨千光寺住職・臨床宗教師の肩書を持つ大下大円氏の講演「臨床宗教師の人材育成とその活動」です。東大構内はもう暗くなっていましたが、正門から入ると、植え込みの段差がなくなるくらい、…

デパ地下

必要があって、渋谷の大学図書館で終日、日本史関係の本を読みました。中世の各時代の内乱史です。閲覧室はしんとしていてうれしい。途中でカフェへ降り、待ち合わせた人と、今進んでいるプロジェクトの打ち合わせもしました。 5時半はもう真っ暗です。ヒカ…

紛争地の看護師

白井優子さんの『紛争地の看護師』(小学館)を読みました。すごいーとしか言いようのない、その後にはしばらく絶句が続く読後感です。理由は、ひとつには著者の覚悟と行動力への共感と驚嘆ですが、もうひとつは、いまこの瞬間にも世界で起こっている(自分…

白い切手

夕方、友人と丸の内のKitteで落ち合って、早めの忘年会をしました。例年、三婆の会と称して年忘れ・暑気払いに年2回集まっていたのですが、昨冬1人欠けて2人だけになりました。 1階の吹き抜けには14・5mの白いクリスマスツリーが立ち、音楽が流れ、…

ボンボニエール

親の家を整理したときのことを思い返すと、我が家には蓋物が多かったなあ、という気がします。かつてはジャムも調味料も、必ず商品の容器から自家のうつわものに移して卓上に出されました。蓋物に移されたら、食べてもいいものなのです。主婦のいる家なら、…

もう一つの道

先日ブログに書いた「卒論指導」を読んで、日本史をやっている友人から、メールが来ました。以下に引用します。 【「卒論指導」の記事を拝読し、私も昔のことを思い出しました。卒論は、農業史をやろうと思っていたのですが、指導教授から「ん~、史料がね」…

立ち読み

歯医者へ定期の口腔ケアに出かけました。口の辛い歯科衛生士から、右下奥の1本を除けばよく磨けている、歯茎もきれいになった、と褒められました(ここまでに4年半かかった)。支払いの段階になって、高額請求に一瞬耳を疑いました(後期高齢者保険なので…

スポーツの勝敗

小結貴景勝の優勝は、上位陣の休場や突っ張りだけが持ち技、という限定条件を差し引いても嬉しいことです。何故なら、師匠の突然の引退、部屋替えという衝撃を真正面から突破しての優勝だから。かの親方の言動は、スター横綱のイメージを損ね、相撲というス…

菊見酒

このところ月の美しい晩が続きます。我が家では小菊が咲き始めました。あちこちから小枝を失敬してきて、挿し木で増やしたのですが、数年のうちに新種から消えてゆき、けっきょく残ったのは、シンプルな白と黄色の小菊でした。これが一番、菊らしい、と満足…

ハンパク

1969年夏、大阪城公園では、ハンパク(反戦のための万国博)が開催されていました。翌年開かれる予定の大阪万国博は、ちょうど70年安保(日米安保条約の更新)と重なり、その問題点から国民の眼を逸らす目的がある、とされ、なら反戦の意志を示す民衆…

天皇陵

24年も前の、暑い夏の日のこと。八坂系平家物語に関する共同研究で、私は村上學さんと共に、天理図書館へ書誌調査に行っていました。この時季、天理図書館の閲覧は午前中だけだったので、午後からの時間が空き、三輪山の麓を歩いてみたい、と言う村上さん…

英雄叙事詩

福田晃・荻原真子共編『英雄叙事詩―アイヌ・日本からユーラシアへ』(三弥井書店)という本が出ました。福田さんのバイタリティには、数々の伝説があります。86歳の今日もこうして、世界的な視野で伝承文芸の集大成に成果を挙げ、多様な人々を結びつけてお…

過少申告

数字が大きすぎてぴんとこない、自動車会社トップの不正。最近は、CEOと社長と会長と代表権のある何とやら・・・と、誰に最高責任があるのか、外部からはよく分からない組織が多くなりました。私に違和感があるのは、あの会社の社長がしゃらっと、記者会…

空飛ぶ酔漢

航空機パイロットの酒酔い乗務が、問題になっています。怖い話です。落ちる側だけでなく、落ちてこられる側からすれば避けようがなく、予測もできないのですから。 一昔前、未だ酔っ払い運転の取り締まりがそれほど厳しくなかった頃は、ちょっと引っかけた方…

太平記シンポ余談

昨日の太平記シンポジウムは計4本の発表があり、最後の発表者伊藤慎吾さんは「妖怪資料としての『太平記』受容―「広有射怪鳥事」を中心に―」と題して、巻12で建武元年改元記事に伴って、紫宸殿の上で「いつまでいつまで」と鳴く怪鳥を隠岐広有が射落とす…

太平記シンポジウム

京都の日文研で開催された、太平記シンポジウムを傍聴しに行きました。急いで出たので、ガラケーと腕時計を忘れたのに気づきましたが、引き返す時間がなく、不安でいっぱいのまま、深川めしの駅弁(東京駅発の朝食は、これに決めているのです)を買って乗車…

卒論指導

松薗斉さんが自著のあとがきで、学部時代の卒論の思い出を書いているのがほほえましく、ちょっぴり苦く(似たような覚えが誰にもあるはず)もあります。指導教授の川添昭二先生に、早歌(宴曲)研究をしたいと申し出たが、微笑まれるばかりで何も返事されず…

佳日

よく晴れた穏やかな日、朝の家事を済ませて腰を下ろし、珈琲を淹れる頃、宅配便がやってきて、仕事仲間からの献本を届けてくれる。期待に満ちて包装を解き、紙の匂い立つ新本を開いて、まず目次、まえがき、あとがきを読み、再び目次に戻ってきて、どういう…

中世の女房

松薗斉さんの『中世禁裏女房の研究』(思文閣出版)という本が出ました。550頁近い、持ち重りのする本です。装幀は瀟洒ですが、中身はびっしり。序章「中世の内裏女房を理解するために」から始まって、1内侍の職務と補任 2中世の内侍の復元 3大納言典…

石蕗

石蕗の花が咲き始めました。東京では日本庭園の置石の裾に植え込んだりしますが、九州では山に自生し、茎を食用にします。庭にもよく植えてあります。親族の話では、河豚の解毒剤になるので、植えておくのだとか。 かつて下関や博多では、魚屋で買った河豚を…