日々雑録

百首歌として

野本瑠美さんの「百首歌としての『隆房集』」(「国文学研究」187)を読みました。『隆房集』は藤原隆房(1148~1209)が詠んだ恋歌を集めた歌集ですが、内容の一部が平家物語の小督説話と一致しており、あたかも小さな物語のように編成されてい…

中世の仏教と芸能

中世文学会のシンポジウム「中世の仏教と芸能」を聴きに、駒澤大学へ出かけました。村上光徳さんや水原一さんがおられた頃はよく来ましたが、もう何十年ぶりでしょう。周辺の通路には大学の警備員が配置され、構内の建物は殆ど全部建て替えられていました。…

品格

一時期、「◯◯の品格」という本が流行ったことがありました。それに倣えば「本屋の品格」とでも言えばいいのでしょうか。さる版元のHPに「お詫び」頁ができ、ある著者の実売部数を公表したことを謝罪しています。ネット上は騒がしいようですが、何かずらされ…

薔薇の蘇生

伸びすぎた石榴の枝を剪って、小さく活けることにしました。赫い新芽や茎と黄緑の葉とが引き立て合って、とても美しいのです。ところが風雨で倒れたロベリアを起こしたりしていた、たった20分ほどの間にぐったり萎れてしまいました。すぐ切り戻して水に入…

書誌調査

高木浩明さんから「調査研究報告」39号(国文学研究資料館)を頂きました。高木さんはずっと古活字版の悉皆調査を志し、独力で調査を続け、毎年その結果をいろいろなところへ発表してきました。勤務先に研究機関がないので、一貫して同じ雑誌に発表するこ…

新茶

久しぶりで、窓を搏つ雨音が聞こえるほどの風雨でした。カーテンを開けたら、最後に1輪残しておいた薔薇の紅い花弁が、ベランダ中を舞い狂っています。ロベリアも伸び過ぎたビオラも、ぐっしょり打ちひしがれてしまいました。 名古屋の友人から、静岡の新茶…

日曜日のカフェ

大量の書類に目を通す仕事が一段落したので、地下鉄に乗って買物に出かけました。近辺は5月祭の客でごった返しているので嫌気がさし、小石川まで行くことにしました。 後期高齢者になると、数ヶ月の間に生活が変わって、新しい買物が溜まるのです。食品では…

宗祇と心敬

伊藤伸江さんから抜刷が5篇、送られて来ました。宗祇の句集『宇良葉』とそれに収められた独吟百韻の研究、心敬の連歌と和歌を集成した『芝草句内岩橋』の研究です。どれもこの3月に、勤務先の愛知県立大学関係の雑誌に発表したもの。大先輩の奥田勲さんと…

抗拒不能

法体系の詳細は、私は知りません。しかし、家庭内犯罪、殊に親の犯罪について、日本の法適用は公正でないのではないか、という気がしてなりません。かつては尊属殺人という言葉があり、子が親を殺した場合は重罪になりました(現在はなくなりました)。なら…

変わる植生

中学校の塀際に、ピンク色の小花をつけた、見慣れない草が揺れているのを見つけました。天南星の仲間を根こそぎ除草した跡です。植えたとも思えないし、ただの雑草とも思えない。ネットで調べると、どうやら夕化粧というらしい。 最近は、園芸品種なのか雑草…

発言撤回

最近、何か咎められると「発言を撤回し」(ときには金を返し)、「ご心配ご迷惑をおかけしたことをお詫びし」、それで済んだとする事例が多いのですが、納得がいきません。昔話にも「口を出た言葉には追いつけない」という教訓があったでしょう。返せば泥棒…

おみくじの歌を読む

『おみくじの歌』の著者平野多恵さんから、メールが来ました。昨日の本ブログに対するコメントです。 「おみくじの歌の分類について、本書では、さまざまなおみくじの中から特徴のある歌を取り上げた結果、古歌利用と教訓歌が多くなりました。ただ、流通して…

おみくじの歌

平野多恵さんの『おみくじの歌』(笠間書院コレクション日本歌人選)を読みました。平野さんは中世和歌の専門家ですが、おみくじや歌占を研究すると共に実践(実際にある神社の歌占も作ったらしい)活動もしている、元気な人です。歌占が研究対象になるの?…

歌謡の時代性

植木朝子さんの論文「歌謡の時代性―「城南寺の祭」と「独楽」からー」(「日本歌謡研究」第58号 2018/12)を読みました。日本歌謡学会のシンポジウムで、『梁塵秘抄』439番を取り上げ、その詞章のどこが、当時新しみとして受け止められたのかを…

薔薇の日々

我が家の紅薔薇が咲き出しました。昨秋に大きな花を咲かせたので、今年はふつうの大きさの花が5輪。それでも朝、カーテンを引くと真紅の花がぱっと目に入り、挨拶されたような気分になります。 このところ足腰の衰えを自覚し、なるべく日に1回は外出するこ…

パセリ

パセリ農家では、パセリを丸ごと使う料理をいろいろ工夫していることを、TV番組で知りました。素揚げにして塩を振ると美味しいのは知っていましたし、ちゃんとした料理店で出てくれば(ひどい店は使い回しする)、生でも葉だけつまんで、塩かマヨネーズで食…

ミナト君のこと

長野の友人からメールが来ました。連休中は、地域の祭や一族の交流で忙しかったらしい。このブログで昨年、「21トリソミー」と題して紹介した坊や(ミナト君、と呼んでおきましょう。人が行き交う所に因んで両親がつけた名前から)も、小学校に入学し、元…

索引と年表

軍記物語講座第2巻附録の源平盛衰記地名索引、第1巻・第4巻附録の年表を作成するための打ち合わせに出かけました。春日通りの交差点近くの会議室です。何かの店を閉めて、取り壊しまでの期間、貸し部屋で稼いでいるらしい。休日の午後、廃屋のようなビル…

10連休

昨日は1日中ヘリコプターがうるさくて、高速道路から都内へ入ってくる車列の観察かと思っていたら、一般参賀の交通整理だったらしい。午後には、午前中の参賀で貰った日の丸の小旗をリュックに挿して、我が家の近くを走っているランナーを見かけました。1…

歌人源頼政

中村文編『歌人源頼政とその周辺』(青簡舎)という本が出ました。歌人伝の研究など院政期の和歌文学に関して着実な成果を挙げてきた中村文さんの定年退職を記念して、『頼政集』輪読会のメンバーを中心に編まれた論文集です。あとがきを書いた兼築信行さん…

読み直す憲法2019

日本国民は、(中略)政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国…

鴨東通信

連休で家事代行さんが来ないので、久しぶりに自分で家の掃除をしました。プロの彼女は2時間で掃き掃除拭き掃除(雑巾を両手に持って拭きます)を済ませるのに、掃き掃除だけで1時間以上かかってしまいました。 もう夕暮。思文閣出版の宣伝誌『鴨東通信』1…

終日

冷たい雨の降った1日、終日、軍記物語講座第1巻予告のウェブ用原稿の校正に逐われていました。つまり、私にとっては、ふつうの1日でした。TVは終日、天皇退位の日、平成最後の日の中継(生中継できることは殆ど何もないのですが)で埋まり、普通のニュー…

お別れ会

有吉保さんのお別れ会に、日大文理学部へ出かけました。中世和歌と書誌学の大家です。受講したことはありませんが、何かにつけて可愛がって頂きました。ご自宅へ伺ったこともあり、端本の平家物語をぽんと下さったこともありました。若くてパワハラに苦しめ…

ダリヤ

最近は季節に関係なく、大輪のダリヤが流行っているようです。子供の頃、庭先に植えたダリヤは、葉が臭かったし、夜の間に黄金虫が花弁を食い散らし、芯が糞まみれになっていたりして、好きになれない花でした。ポンポンダリヤという小輪咲もありましたが、…

稽古照今

母校の国語国文学会公開シンポジウムを聞きに行きました。公孫樹並木で、大先輩の原道生さんに遭って、立ち話をしました。女流義太夫の会の会長になられたとか。忙しいので評議会に出ただけで帰る、と言われたので、私は居眠りしないように聞いてきます、と…

名物校長

新緑の季節。今から59年前の議事堂前の新緑の下は、デモの人波で埋め尽くされていました。60年安保改定の年です。私は都立高校に入ったばかりでしたが、放送部の部室で、上級生のいない時にその話が出ました。同級生の1人が、将来は国連職員になって平…

淡紫の園

暖かくなって、ビオラの花が小さくなり、アブラムシとの戦いが始まりました。今年は郭公薊の越年に成功した(もともと多年草だが、日本では露地では越冬できない、と知ったので、室内に入れたのです。秋に挿し芽したら、3鉢分も茂ってしまいました)ので、…

粟津のいくさ

城阪早紀(きさかさき)さんの論文「『覚一本平家物語』「木曾最期」考ー「粟津のいくさ」をめぐってー」(「国語国文」3月号)を読みました。義仲が粟津で死ぬ場面は、めのと子兼平の壮絶な自害の後、「さてこそ粟津のいくさはなかりけれ」(覚一本)とい…

誕生祝い

明日から天気が崩れるというので、給水所公苑へ出かけました。薔薇は未だ開花しておらず、藤と木香薔薇が咲き誇っていました。木香薔薇は、小枝1本でも素焼の陶器など素朴な器に活けると、よく似合います。木陰のベンチでは、老人が本を読んだり、スマホを…