日々雑録

熱中症予防水

高齢者あんしん相談センター(どうして真中だけ平仮名なの?)から、人がやって来ました。後期高齢者をチェックして歩いているようです。あれこれ個人情報を聞き出し、塩飴をくれようとするので、桜花で作った我が家の熱中症予防水をプレゼントして、帰って…

老人力

山に迷い込んだ2歳児を、はるばる駆けつけてきて救出した老人に感嘆しました。TV報道で視る限りの印象ですが、マニュアルや研修で得た技術でなく、78年間自力で生きてきた人の能力と信念が、輝いていると思いました。 子供に呼びかけながら、単身で山へ…

与える

スポーツマンが抱負を述べる際に、この頃よく、勇気と感動を「与えられるように」がんばります、などと言います。かちんと来ます。殊に、何もかも周囲の支えがあって成り立つ高校生スポーツなどでは、指導者は何を教えてんだ、勘違いさせるな、と言いたくな…

貝になる

TVで初めて反戦を宣言したドラマとして記憶されているのが、TBSの「私は貝になりたい」(1958/10/31放映)でした(私にはそう記憶されているのです)。翌年劇場版もできました。私が観たのは劇場版だったかそのTV放映だったか、コメディア…

青春文学

高山実佐・東直子・千葉聡編『心に風が吹いてくる 青春文学アンソロジー』(三省堂 ¥1900+税)を読みました。表紙の絵がすてきです。 本書は小説20篇の抜粋と詩・短歌・俳句を、1友情を胸に、2恋のかたち、3私って何だろう、4家族がいるから、5…

揚がる花火

今年は各地の花火大会のTV中継が多くて、見比べながら楽しんでいます。柏崎、長岡、両国、琵琶湖、東京湾・・・やはり夜空の大きい所、水面の広い所が見応えがあります。花火の色彩も図柄も、そして打ち上げる組み合わせ、デザインもさまざまになりました…

宗祇から紹巴まで

鶴崎裕雄さんの「宗祇から紹巴までー連歌における室町後期と織豊期の相違ー」(「芸能史研究」220号)を読みました。①応仁ー元亀年間(1467-1573室町後期)と②天正―文禄年間(1573-1615織豊期)とでは、連歌師と、顧客に当たる地方大名…

人文知の力

福岡伸一さんのコラムを朝刊で読み、共感しました。「人文知の力、忘れていないか」という見出しで、朝永振一郎の『滞独日記』を引きながら、次のように述べています。 「自然は本来、混沌、無秩序で、常に変化し、しかも毎回異なるものだ。それをモデル化し…

教師たち・その2

中学・高校時代の教師には、リアルな戦争体験者が何人もいました(当時はオジサンのように思っていましたが、未だ30代から40代前半だったのです)。中学の職業家庭の教師は他のクラスでは英語も教えていました。フィリピンで従軍したから英語は喋れる、…

平家語りを継ぐ

平家物語の語りを肉声で聞くことが難しくなりつつあります。師匠からの口移しで伝承してきた名古屋の検校は、200句ある中の8句しか語れず、現在ただ1人の検校も、東京の公演には滅多においでにならなくなりました。 いま平家語りを、自分の声で継いでい…

リズムの哲学

必要があって、山崎正和『リズムの哲学ノート』(中央公論新社)を取り寄せ、川本浩嗣『日本詩歌の伝統ー七と五の詩学―』(岩波書店 1991)と併せて読んでいます。山崎正和には戯曲『世阿弥』『野望と夏草』で注目し、1970年代半ばまでは評論の殆ど…

蝉の声をあまり聞かなくなりました。2,3年前はこの辺でも、網戸に止まって高らかに鳴く蝉に閉口したのですが・・・小学校や神社の傍では油蝉やみんみん蝉が鳴いているので、はたと思い当たりました。我が家の近辺では、建て替えや切り売りのために新築し…

軍馬の戦争

土井全二郎『軍馬の戦争』(潮書房光人社)を読みました。著者はもと新聞記者で、戦記類に基づくドキュメントを数多く書いている人です。本書も、戦中戦後の兵士の手記や刊行物から抜粋して、「さきの大戦」に徴発され、戦地に送られた馬たち(約50万頭。…

窓をあける

『文学研究の窓をあける―物語・説話・軍記・和歌』(石井正己・錦仁編 笠間書院)が出ました。2016年12月の講演会と、翌1月のシンポジウムを中心に本にしたものです。内容は第1部講演録、第2部海外から見る日本文学、第3部緊急共同討議「文学研究…

水天門

赤間神宮の名誉宮司水野直房さんからお手紙が来ました。7月20日に国の文化審議会から、赤間神宮の水天門と回廊を国の登録有形文化財に指定する答申が、文科省に出されたとのことです。 壇ノ浦を望む丘の上に建つ水天門は、青空と安徳天皇陵を覆う森とを背…

ウェブ版うるし美術館

藤沢保子さんから「藤澤保子うるし美術館」というHPを起ち上げた、との手紙が来ました。藤沢さんは中学の同級生です。おかっぱで、赤いリボンを結んだセーラー服の似合う人(中学には制服はありませんでしたが)でした。中学卒業以来20年近く会ったこと…

現場の日々

栃木県の高校教諭をしている、20年前の教え子がやって来ました。定年まであと4年になったとのこと。進学校に転任して11年目、サッカー部の指導その他、忙しく暮らしているらしい。いろんな話をしました。高校にも女性教諭が多くなったこと、アクティブ…

授業の作り方

古田尚行さんの『国語の授業の作り方』(文学通信)という本が出ました。古田さんは「国語科教員の部屋」というブログもお持ちで、30代半ばの中高一貫校教諭です。真面目な方で、国語教育の前衛たらんとする意欲が、この本にも満ちています。 本書は、1授…

昆虫学者の老後

新聞の「ひと」欄に30年前の同僚が紹介されていました。鳥取砂丘のハンミョウ保護活動のリーダーだそうです。私の鳥大赴任1年後に、生物学の助手(現在は「助教」という)で任用された青年でした。寡黙で、人付き合いは殆どないように見えましたが、理系…

仕事の流儀

「プロフェショナルー仕事の流儀」というTV番組があります。ばりばりの仕事人を1人選び、その数日を追うドキュメントです。最後に、主人公に向かって「プロフェショナル」の定義を訊くシーンがあり、それぞれ答に深い含蓄があって面白い。平凡な答であっ…

教師たち

我々の時代、学校の「先生」はお友達ではありませんでした。小学校では、児童と教師(家庭内では、子供と親、も同様に)、はそれぞれ別世界の生物と言ってもいいくらい、厳然たる区別がありました。中学になると、生徒と教師は、子供と大人という別の範疇で…

8月の本

本屋へ注文した本を受取りに行きました。近所の本屋は次々潰れて、15分以上歩いて行かねばなりません。カウンターで受け取る前に隣りのコンビニ(いつの間にか、本屋の半分がイートインのコンビニに改装されていた)で飲料を買い、まず新刊書と文庫本の棚…

巴旦杏

今日は河童忌。芥川龍之介に、「漢口」と題する、「ひと籃の暑さ照りけり巴旦杏」という句があります。アジアの市場、酷暑の街、そしてはちきれそうな夏色の果実が眼に浮かぶような句です。 巴旦杏という語は、子供の頃、欧米の翻訳小説か何かで覚えたのだっ…

酷暑

連日の酷暑に参っています。週間天気予報を眺めて、10日も我慢すれば楽になるかと期待しても、馬の鼻先の人参のように、先へ先へと延びるだけ。花屋の主人は、舗装の上では膝下の気温が50度になる、と言っていました。美女桜も夕霧草も駄目になり、元気…

日本霊異記の地蔵説話

霧林宏道さんの「地蔵説話の享受と展開―『日本霊異記』から十四巻本『地蔵菩薩霊験記』までー」(「國學院雑誌」7月号)を読みました。『霊異記』中唯一の地蔵説話である下巻第九話を取り上げ、『宇治拾遺物語』、『地蔵菩薩霊験記』とその絵詞、公誉法印草…

産児休暇・育児休暇

都立高校に勤めていた頃、ある日出勤したら、黒板に「◯◯先生産休」と書いてありました。◯◯先生は男性です。私は何かの間違いだと思って笑い出し、教頭から、公務員は男性でも子供が生まれたら2日間の休暇が取れる、知らないのか、と叱られました。吃驚しま…

須賀敦子

須賀敦子詩集『主よ 一羽の鳩のために』(河出書房新社)を読みました。一服の清涼剤、とはこういうことを言うのでしょうか。池澤夏樹の解説にはリルケを思わせるとありますが、言葉の配置からいうと立原道造が連想されます。こんな本を2,3冊出すだけで一…

やせ我慢

定例の口腔ケアに出かけました。16:30の指定です。西南へ15分歩いて行く歯医者なので、西日をたっぷり浴び、舗装の熱と各戸の室外機から吹き出す熱風とで、殆ど命賭けのような気になりました。歯科衛生士からは、1,2箇所を除きよく歯磨き出来てい…

暑気払い

連日の酷暑に音を上げて、暑気払いの会をやることにしました。ベジタリアンの人に合わせて、駒込の野菜料理専門店を予約したのですが、肝心の幹事が来ません。どうやら、定年後半年で早くも日にちの感覚を失くしたらしい。 まずは前菜盛り合わせに生ビールで…

中世文学の領域

必要があって『谷山茂著作集』(角川書店)を読んでいます。「中世和歌とその風土」や「中世の美学・美意識」など、現代の国文学研究が敬遠しているかに見える、大きく時代やジャンルを把握し、ときには蛇行や佇立を厭わず考察を進めていく文章です。 『新古…