説明責任

最近、耳にたこができるほど聞かされる語がありますー曰く、説明責任。与党総裁は党員に「説明責任を果たすよう求めていく」と繰り返しますが、一向に効き目がないようです。あんまり頻繁に聞いているうちに、はて、どんな意味だったろうという気になり、ウ…

長門切「三十騎には」

平藤幸さんの論考「新出『平家物語』長門切の紹介と考察」(「国文鶴見」58号)を読みました。この度鶴見大学図書館蔵となった、5行の長門切の翻刻とその考察です。源平盛衰記巻35「粟津合戦」の一部、既出の切(鶴見大学図書館蔵「名乗て懸出」の数行…

102年目の魚屋

父の命日が近いので、花を買いに出ました。この近辺では頼れる花屋がなくなって、不自由しています。週末だけ出す店があって、品数は少ないが花が新鮮なので、まずそこへ行ってみました。黄色いフリージアがある。白か紫ならもっとよかったけど、父の好きな…

2万の星

2017年1月から開始したこのブログに頂いた星の数が、本日2万を突破しました。お読み下さる皆様、声援を送って下さる方々、また時折、素敵な写真を送って下さる方に御礼を申し上げます。おかげさまで見守り機能も果たしてくれており、認知症テストを試…

時計屋

腕時計が動いたり止まったりするので、電池切れにはちょっと早いなと思いながら、春日通り沿いの時計店に出かけました。東北訛りの老店主が修理もする店です。先客がありましたが、開いている時が少ない店(コロナ以来、子供たちからもう辞めろと言われたの…

石母田正がいた時代

評伝『石母田正』(磯前順一 ミネルヴァ書房 2023)を読みながら、かつて見慣れた日本史の学者名が次々出てきて、ああこの人はこうだったのか、と知る例が続いたので、日本史の人は本書をどう読むのか知りたくなり、錦織勤さんに問い合わせメールを出し…

石母田正評伝

磯前順一著『石母田正ー暗黒のなかで眼をみひらきー』(ミネルヴァ書房 2023)を取り寄せて読みました。歴史社会学派の旗手、また名著『平家物語』(岩波新書)の著者として、私と同世代、やや年長の軍記物語研究者たちが敬意と憧憬を籠めてその著作を読…

ジャムを買いに

ジャムとパンを買いに、少し離れた大手スーパーまで出かけました。ともすれば変化のない生活になりがちなので、毎朝のスープ、ヨーグルトに入れるジャム、晩酌の缶麦酒、それにサラダドレッシングをいろいろ探索し、新しい味を試すのをささやかな楽しみにし…

漫画立国

1人の漫画作家の訃報が、世界中で悲しまれているという報道が気になって、ウェブで少々調べてみました。竜の玉7個を集める話は1984年から95年まで、おかしな発明を繰り返す博士が造った少女ロボットの話は1980年から84年まで、いずれも少年漫画…

講談

「日本古書通信」1135号に、目時美穂さんが「音声再生装置としての講談速記」という文章を書いています。明治の半ば頃、大衆紙には小説とは別に、講談の速記が連載され、愛読され、単行本にもなっていた、というのです。明治32(1899)年には東京府下…

アンコンシャス

3月8日は国際女性デーなんだそうで、内閣府のHPには日章旗と大きなミモザの花瓶を背景に、担当大臣の挨拶が載っています。1977年に国連が制定したのだそうですが、遡れば1917年、帝政崩壊に繋がるデモをロシアの女性たちが実施したところからこの日にな…

ジン攻略法

友人から椿の実で香りをつけた五島ジンを贈られてから、呑み方を研究しました。今はリキュールが親しまれる時代になったのですね。私には、ジンは針葉樹の香りのする、透明でむやみに強い、肉体労働者向けの酒、カクテルの材料にすれば都会向けになる、とい…

小さくなる

母国を再び偉大に!というスローガンは、人を熱狂させるようです。しかし弊国で、大きいことはいいことだ、というキャッチコピーが流行ったのは、随分昔のこと。これからは、国土の狭い日本で、産めよ増やせよで右肩上がりの経済成長を維持していけるとは、…

番外編:太平記の人々に出会う旅① 第86回「神戸市・湊川の戦い」

元弘3年(1333)、後醍醐天皇は鎌倉幕府を滅ぼして建武の新政を行いますが、足利尊氏が半旗を翻し、わずか2年半で崩壊します。この時、後醍醐天皇に忠誠を尽くしたのは楠木正成や新田義貞です。尊氏は敗れて一旦は九州まで退いたものの、再起を図り、建武3年…

虹の彼方に

同時代史は断片的、自分が通り過ぎてきた一瞬の記憶だけで綴られているので、何かのきっかけでその背景を知り、愕然としたり、腑に落ちたりすることが多い。このブログを書くために調べてみて、へえ~そうだったのか!と驚くこともよくあります。 子供の頃、…

東京マラソンの日

朝、轟音を立ててヘリが我が家の上を旋回し、ホバリングしたりしてうるさいなあと思ったら、今日は東京マラソンだったのでした。人数が多いだけでなく、五輪代表を狙って走る人もいればコスプレを楽しむ者あり、車椅子参加者もいるという具合で、運営する方…

辻井伸行に教わったこと

ドキュメント番組「辻井伸行×ハワイ」(BSフジ)を視て、考えることが沢山ありました。彼の海外ツアーを追うドキュメントは年末恒例番組だったのですが、久しぶりで視たら、童顔ながら肉付きのよい中年にさしかかり、手引きも若い人に交代していました。幼…

少子化の理由

韓国の少子化は最近速度が上がったらしく、その理由を推測した報道を読むと、日本でも同様だという気がします。政府は子育て世代に降り注ぐように金銭的補助をしようとしていますが、エノキさんによれば、出産年代の友人たちは、¥50万貰ったくらいで子供…

古活字探偵14

高木浩明さんの連載「古活字探偵事件帖」14(「日本古書通信」1135号)を読みました。「横山重と古活字版五経」という題で、コレクターとして有名だった横山重氏の逸話を取り上げています。 表紙が最初に付けられたまま(原装本)か付け替えられた(改…

給湯器

20年目の給湯器を交換しました。マンション指定業者に電話で申し込んだところ、受付の女性が、下見に行く前に機体の写真を撮って送れと言う。今どきやたらに住居の写真を渡すのもメールを送るのも不安だし、こちらは素人なのでどの部分を写せばいいのか分…

日本郵便

能登半島地震の被災地でも、郵便の配達が可能になってきて、今年初めての郵便物を受け取った人たちが、ああ日常が戻ってきた、と実感を籠めて呟く姿が報道されました。そう、赤いバイクや自転車が止まって、郵便物を手渡され、何気ない挨拶をしてまた走り去…

試飲会

午後から3人女子会を陋屋で開催しました。60代、70代、80代の3人です。私がちょっと面倒なことを2人に依頼し、その打ち合わせの後、五島ジンの試飲会。 椿の実がロゴマーク 開栓すると、椿油の匂いを含んだ香気が立ち上りました。まずショットグラ…

春は名のみの

寒暖が入れ替わる時季とはいえ今年は極端です。今日は雪もよう。しかし晴れた朝は、窓を開けた時の雲の動きや、空の色が真青でなくどこかやわらかく輪郭がぼやけていることから、バレンタインデーを過ぎれば早春、という例年の感覚を思い出しました。 街のあ…

ジンのつまみ

やっと雨が上がったので、播磨坂まで買物に出かけました。街には人が湧いて出ています。いつものようにここの店はちょっといい野菜とパンがお目当てですが、頂き物の五島ジンを試飲するための肴を見立てるのも、今日の目的。 男親から酒を習った私は、ジンと…

豊後便り・堺旅行篇

別府で悠々老後の友人から、写メールが来ました。 千利休屋敷跡 【別府港からは毎日1便、サンフラワーが大阪南港へ出ています。昨年春に、新しい船が就航しました。ピカピカの新造船に乗ってみたかったのが一つ、夜出港して翌朝大阪に着き、1日遊んで、夜…

猫の日

今日は日本の、猫の日(世界各国に猫の日があるそうで、国際的な猫の日もまた別にあるらしい。猫の鳴き声をにゃあと聞きなすのは日本だけだそうですが、に音に因んでこの日を猫の日にしたという)なんだそうです。BSの民放局の中には終日、猫に因んだ番組を…

労働環境

昨日の朝日朝刊教育欄に、刀禰真之介さんという人が、教員の労働環境改善の第一にメンタルヘルス対策が必要だと語っていました(「先生のための「心の保健室」を」)。2022年度には、精神疾患で休職した公立学校教員が6千人を超えたというから驚きです…

○○大学寮

京都大学吉田寮の運営をめぐって学生と大学当局が争った裁判に、京都地裁が学生の主張をほぼ認める判決を出した、という報道を知って、ある種の感慨に囚われました。裁判の核心は、寮の運営は学生の自治活動の一環であり、大学当局は学生代表と交わした確約…

おめでとう!

米国のワイジャンティ・セリンジャーさんから、嬉しいメールが来ました。 【中世を専門としている女性研究者を奨励する助成金に選ばれました。 http://bonniewheelerfund.org/home.aspx ボニー・ウィーラ氏は著名な中世の研究者です。今までの受賞者は全てヨ…

購読紙の今週の日曜版特集は「マラリア 根絶への道」でした。WHOの推計では2022年、85の国と地域で249百万人が感染、608千人が亡くなり、死者の8割が5歳以下の子供だというのです。蚊がマラリア原虫を媒介し、地球規模の気候変動により蚊の棲息地…