暑気払い

連日の酷暑に音を上げて、暑気払いの会をやることにしました。ベジタリアンの人に合わせて、駒込の野菜料理専門店を予約したのですが、肝心の幹事が来ません。どうやら、定年後半年で早くも日にちの感覚を失くしたらしい。 まずは前菜盛り合わせに生ビールで…

中世文学の領域

必要があって『谷山茂著作集』(角川書店)を読んでいます。「中世和歌とその風土」や「中世の美学・美意識」など、現代の国文学研究が敬遠しているかに見える、大きく時代やジャンルを把握し、ときには蛇行や佇立を厭わず考察を進めていく文章です。 『新古…

和歌の鶴

木村尚志さんの論文「院政期和歌と自然―女房文化との関わり―」(「和洋國文研究」52 2017/3)と「和歌における「鶴」―高内侍と西行の和歌を繋ぐものー」(「和洋女子大紀要」57 2017/3)を読みました。前者は「虫めづる姫君」から虫合、俊頼…

役者の老後

学部入学後、演劇部に入りました。劇団「雲」が旗揚げした頃です。サルトルの「汚れた手」の公演準備が始まっていました。部長は東大留年6年目というむさい人で、新入生歓迎コンパのために上着を質入れしてきたんだよ、と上級生から教えられ、恩着せがまし…

虫たち

やっと蝉が鳴き出しました。年々蝉の声が少なくなります。緑が減り、舗装が進むのに抗しきれなくなったのでしょう。虫は苦手ですが、蝉と蜻蛉と蝶は、身近かにいて欲しい。朝、菊の茂みで茎の擬態をしている青虫を見つけました。私も草花も暑さでぐったりし…

開かれた対話

東大臨床倫理学の公開講座「治癒に寄与する「倫理」―オープンダイアローグの可能性―」を聞きに行きました。明翔会の山本栄美子さんや大学院後輩の林さんが受付にいました。講師は筑波大学の斎藤環教授で、学生や医療・介護現場の人たちで法文2号館の大教室…

防災

西日本の豪雨・土砂崩れの被害はひどいようです。以前も同じ地域で土砂災害があったのに、対策が2~3年では間に合わなかった、ということでしょうか。森林の手入れや下水道の補修は遅れ気味なのに宅地造成が広がり、その上に気候天候が、地球規模で予測を…

荻野検校

尾崎正忠さんの『増訂版 荻野検校』(荻野検校顕彰会 限定500部 非売品)が出ました。林和利さんの監修です。初版は1976年に出され、入手しにくい本でしたが、その後『平家正節』の影印が刊行され、荻野検校の業績が見やすくなったこともふまえて、増…

ニコライ堂の鐘

朝、ニコライ堂の鐘の音がいつもより大きく長く鳴り続けました。普段は気づかない程度なのですが、東北大地震の年忌や原爆記念日、クリスマスなどには、おや、と思うほどよく聞こえます。NYテロの年忌とか、法皇の交替にも。今日は何があったのか、西日本…

中世文学第63号

中世文学会の機関誌「中世文学」63号が出たので、関心のある箇所を読みました。講演録「中世根来寺の法儀と聖教」(永村真 2017/11/04)・「「2人の三郎」からみた室町時代「能作」史」(天野文雄 同)がためになりました。 シンポジウム報告「…

中世文学研究会

母校の大学院の中世文学研究会に出ました。参加者は現役の院生からOBまで約20人、豪雨で山陽新幹線が不通になったりしていましたが、岡山、神戸、名古屋からもOBがやって来ていました。発表は2本。石井悠加さんの「真宗絵巻『拾遺古徳伝』の法然詠歌…

源平の人々に出会う旅 第18回「北陸・倶梨伽羅落」

燧ヶ城落城の知らせを聞いた義仲は越中へ向かいます。『源平盛衰記』では、寿永2年(1183)5月9日に先鋒隊の今井兼平軍が般若野(砺波市)で勝利をおさめます。義仲は軍勢を七手に分け、自らは埴生庄(小矢部市)に布陣しました。 【護国八幡宮(埴生八幡宮…

いずみ通信

木戸裕子さんの「大江匡衡の晩年と杖」(「いずみ通信」44)という小文を読みました。赤染衛門が、61歳で亡くなった夫匡衡の遺品を見て詠んだ追悼歌「独りしていかなる道に惑ふらん千年の杖も身に添はずして」を引き、詞書にある「せんざいの杖」とは、…

今年の梔子

我が家の梔子に今年最後の一輪が咲きました。宇都宮に勤めた頃、同僚から切り花で戴いた枝を挿し木にし、今では私の背丈を越えるほどに大きくなりました。鉢が小さすぎるのはよく分かっているのですが、これ以上大きくすると私の腕力では持ち上げられなくな…

朋有り、遠方より来たる

長野の友人が上京のついでに我が家へ寄ってくれて、久しぶりにあれこれお喋りをしました。お土産は名産の杏。見事な大粒で、友人の妹さんから、種を埋めれば必ず生えます、との伝言と、宇和島信用金庫が企画した『豊姫物語』という絵本が添えられていました。…

梅雨明け十日

梅雨が明けました。例年より2~3週間も早い。年と共に夏に弱くなり、晩年、夏の学会には出ない、と言っていた水原一さんの気持ちが、分かるようになりました。我が家の寝室は東向きなので、毎朝、太陽が「今日も元気だ、灼いたるぜい!」と言わんばかりに…

週刊文春

「週刊文春」を買いに行きました。一般誌を買う時は、我が家が定期購読している新聞とは対立している、文芸春秋社のものをなるべく買うことにしています、バランスを取るために。今回見たい記事は2つあって、他誌の特集した「食べてはいけない食品」記事へ…

語学力

聖徳大学短大部国語国文学会誌「文学研究」第29号所載の、辻英子さんの半生記「菩提樹の木陰で」を読みました。辻さんは説話の日中印比較文学的研究が専門で、80歳になった今も在外絵巻の調査・紹介を精力的に続けておられますが、1970年、ご主人の…

怒る西行

伊東玉美さんの「「怒る西行」説話の背景」(「西行学」第8号)を読みました。説話の主人公になることの多い西行ですが、『古今著聞集』494話や57話、『発心集』巻6ー5話、『今物語』42話など、現実と自らの抱くイメージとが食い違って憤慨する西…

古代史料

『古代史料を読む 平安王朝篇下』(同成社)を頂いたので、陸奥話記(佐倉由泰)、後三年記(野中哲照)、御堂関白記(近藤好和)、年中行事絵(遠藤珠紀)の項を読んでみました。本書は一〇世紀以降の諸史料の読解法を容易に身につけることができるよう編ま…

全釈

早川厚一さんから「『源平盛衰記』全釈十三」(「名古屋学院大学論集」54:2)と「源平闘諍録全釈七」(「同大研究年報」24)の抜刷を頂いたので、前者は『源平盛衰記(一)』(三弥井書店中世の文学 1991)、後者は『源平闘諍録全注釈(上)』(講…

平成30年度奨学生採択

平成30年度松尾金藏記念奨学基金の採択結果が出ました。6月中旬に選考委員会が開かれ、例年よりやや多めの応募者の中から、修士課程8名、博士課程4名が採択され、すでに推薦した大学宛てに、結果通知が発送されています。本基金は他の奨学金との併給は…

土岐善麿の新作能

岩城賢太郎さんの論文「喜多流「綾鼓」の成立と土岐善麿・喜多実協同の新作能創作―喜多流の戦後復興との関わりから-」(「武蔵野文学館紀要」第8号)を読みました。土岐善麿は戦後、ローマ字運動や国語審議会委員、仮名書きの多い口語短歌、そして新作能を…

今は未来だ

沖縄慰霊の日の式典中継を視ながら、毎年、平和の詩を読み上げる小中学生の姿に胸を衝かれます。今年は、術後の県知事のやつれた、しかしなお背筋の伸びた姿に粛然とし、まっすぐにこちらを見つめてくる中学3年生の迫力に気おされました。 学生時代には集会…

神話と現代

『「神話」を近現代に問う』(植朝子・南郷晃子・清川祥恵編 「アジア遊学」勉誠出版)を頂戴したので、まず平藤喜久子さんの「日本神話学の夜明け」、斎藤英喜さんの「近代神道・神話学・折口信夫」、藤巻和宏さんの「日本文学史の政治性」を読み、次いで植…

沙羅の木

森鴎外に「沙羅の木」という4行詩があります。短いけれど素敵な詩です。この沙羅の木は、平家物語序章の「娑羅双樹」とは全く別物です。庭木によく使われ、別名夏椿。花は椿そっくりですが、落葉樹で、椿とは葉が異なり、柔らかくて柔毛が生えています。一…

宇治川先陣について

大森北義さんの論文「『平家物語』の「宇治川」について」(「古典遺産」67号)を読みました。寿永3年1月、前年に平家を追い落として都入りした義仲軍を、頼朝の命を受けた義経率いる東国軍が討伐しようとして、宇治川をはさんで対戦する。その渡河作戦…

桜桃忌

今日は桜桃忌。勿論、さくらんぼを買って来て、仏壇に上げました。 「桜桃忌」というタイトルの歌が複数あるのですね。1曲はさだまさし風のフォーク、もう1曲は何と演歌。尤も、幼年時代に新内の「蘭蝶」を聞いて恍惚とした、という太宰のことゆえ、演歌も…

羊、鋼、そして森

宮下奈津『羊と鋼の森』を読みました。久しぶりに、文学に救われた気がしました。先々週、難しい事業を支えてくれるはずの人物に脚を引っ張られたりして、私もかなり参っていたからです。いい仕事に惚れて、それを助けたくて、自分自身も行く手に道がひらく―…

平家語りQ&A

6/10の芸能史研究会シンポジウムでの基調講演「平家物語諸本の展開と平家語り」について、メールで質問が寄せられましたので、応答の要点を紹介しておきます。 Q1:①配付資料の「年表」について確認したいことがあります。「1320年以後、『源平盛…