フリーマーケット

区が主宰するステージ・エコという催しがある日なので、未使用食器を持参して小さな石鹸を貰って来ました。区役所の地下階は不用生活用品を持ち寄ったフリーマーケットでごった返していました。出品は衣料品が多いようで、育ち盛りの子どものいる家は助かる…

家ごとの「さきの大戦」・学校給食篇

茅ヶ崎第一小学校は、私が入学した当時生徒数3000人といわれました。朝礼のラジオ体操で脇に曲げる運動の時、腕が脇腹に当たる音が谺を呼ぶほどでした。下駄履きで通学し、休み時間になるとさっと裸足になって、石蹴りやおはじきで遊ぶのですが、空襲の…

家ごとの「さきの大戦」・湘南海岸篇

幼年時代を茅ヶ崎で過ごしました。未だサザンもサーフィンもない頃です。陸には甘藷畑と麦、ようやく陸稲が普及し始めた頃でした。海岸は未だ何もない砂浜で、松の植林が少しずつ始まっていました。戦争末期に、ガソリンの代用品として松根から油を採るため…

戦争体験

軍記・語り物研究会はもとは軍記物談話会という名でした。私よりも8年くらい上に、後に軍記物研究の錚錚たるメンバーになった人たちが何人もいて、新人の勉強会として手弁当で始めた会です。私は卒論を書いている時に、指導教授から先輩を紹介されて入った…

家ごとの「さきの大戦」・進駐前夜篇

九州は終戦直前、激しい都市爆撃に襲われました。敗戦後、明日は進駐軍が上陸するという晩、博多の町ではそこここで鶏の悲鳴が聞こえた、という一つ話があります。占領軍に食われるくらいなら自分たちで、というわけで、飼っていた鶏を絞めて水炊き(博多の…

家ごとの「さきの大戦」・ミンダナオ篇

8月9日は叔父の命日です。昭和20年8月9日、フィリピンのミンダナオ島で戦病死、享年24と我が家の過去帳にはあります。私が生まれてすぐ出征したらしいので、何も記憶がありませんが、我が家には祖父母の写真と並んで、丸眼鏡、軍服姿の若者の写真が…

保田与重郎

前田雅之さんの『保田与重郎 近代・古典・日本』(勉誠出版)という本が出ました。2010~2016年に雑誌連載した評論をまとめたもので、保田の30歳までの活動を取り上げています。序章「なぜいま保田与重郎か」と第三章の一部「木曽冠者と大衆」、第…

擬人化と異類合戦

伊藤慎吾さんが『擬人化と異類合戦の文芸史』(三弥井書店)という本を出しました。まず、装幀が楽しい本です。表紙、見返し、帯にも妖怪がうようよ。中にも挿絵がたくさん入っており、資料を日常的に博捜している伊藤さん(この「日常的に」は誰にでもでき…

社会老年学

大学図書館に用があって出かけ、新着図書のコーナーで『老いとはなにか―副田義也社会学作品集Ⅲ』(東信堂)という本を見つけて、拾い読みしました。トオマス・マンの小説「ヴェニスに死す」や長谷川町子の漫画「いじわるばあさん」(私も全巻揃えて愛読して…

29年度奨学生の専攻テーマ

今年度採用の奨学生10名が確定しました。下記は各人の専攻テーマです。いずれ将来のことを語り合える日が楽しみです。 修士課程: (基礎文化研究)弥生墳丘墓にみる日本海沿岸部における地域間交流 (学校教育)スクールソーシャルワーカーが学校にもたら…

高校野球

高校野球が始まりました。東京育ちは、代表校とあまり縁のない場合が多いので、盛夏名物ともいえる熱狂とはやや距離があります。地方勤務のおかげで、贔屓する対象ができ、ベース1周したら1点、くらいの知識しかない私でも、関心を持てるようになりました…

変わりゆく田園風景

学生時代の旅行はたいてい夏休みでしたから、一面の青田風景でした。未だ大半の道路は舗装されておらず、青田の中に一筋白い土埃が走るのを目印に、バス通りを見つけました。あちこちで青田と農家の合間に咲く濃い黄色の花むらが印象的だったので、尋ねると…

ピーマン

ピーマンが好きになれません。油で揚げるか刻んで炒め物にすれば食べられますが、あの匂いと、ざくざくした肉厚の食感が苦手です。獅子唐は好きなのですが。 学生時代、ユースホステルを使って全国を歩きました。未だビジネスホテルなどは普及していない頃で…

グリーンカーテン

菊坂を下りていくと、葡萄やあけびでグリーンカーテンを作っている家が1軒あります。今年は時計草も植えられ、初夏に花が咲き、いまは円い実がつやつや光りながら幾つも下がっています。よそながら豊かな眺めです。 店に出る葡萄は緑か紫一色ですが、自然に…

しっかり

当今、政治家がやたらに「しっかり」「しっかりと」を連発するのにうんざりしています。新閣僚の中には、30秒足らずのインタビューに4回も発した人がいました(望んで党務へ移った人が、40秒くらいのコメントに1回も使わず、具体性のある言葉で応対し…

源平の人々に出会う旅 第8回「神奈川県・石橋山の戦い」

治承4年(1180年)8月、ついに頼朝は挙兵、伊豆の山木兼隆館に夜討をかけ勝利を収め、続いて大場景親を討つべく石橋山(小田原市)に布陣します。【佐奈田霊社(与一塚)】 石橋合戦で特に活躍したのが佐奈田与一です。岡部弥次郎を斬った後、景親の弟俣野五…

リハビリ

5月末に転倒して右膝の靱帯を損傷し、外出が不自由でしたがようやく痛みが取れ、自己流のリハビリ態勢に入りました。スポーツをやっていないので大きな怪我をした経験がなく、大学院時代に足首を捻挫して以来でした。あの当時は勤め先が決まらず、高校の非…

田村伝承

佐々木紀一さんの論文「田村利仁伝承と鹿島神の縁起」(「国語國文」5月号)を読みました。室町物語の『田村草子』、『鈴鹿草子』、奥浄瑠璃『田村三代記』などの構成要素を多様な資料の中に求め、室町時代には田村利仁伝承が鹿島縁起と交錯していたと予測…

読みから始まる

原田敦史さんの論文を3本読みました。 『平家物語』富士川合戦譚考(「国語と国文学」8月号) 延慶本『平家物語』壇浦合戦二題(「岐阜大学国語国文学」41 H28/3) 四類本『保元物語』論(「岐阜大学国語国文学」42 H29/3) 3本に共通する…

古筆切研究

小島孝之さんの論文2本を読みました。 新出田中親美氏旧蔵「藤原定家筆書状案」の紹介と考察(「成城文芸」240) 古筆切拾塵抄・続(九)―入札目録の写真から―(「成城国文学」33) 前者の切は個人蔵。定家が建暦元年9月22日、叙位任官の拝賀につい…

物質の年代と文学の「時代」

地質学専門の中学時代の同級生が、自分たちのやっている研究会で発表しないかと誘ってくれたので、土木工学・地形学・地質学・地震学などを専門とするシニアの研究会・資源セミナーで、「物質の年代と文学作品の「時代」」と題して、炭素14年代判定法が平…

奨学金問題・その2

6月下旬に奨学金問題を扱った新書がさらに1冊出たことを知りました。 今尾晴貴『ブラック奨学金』(文春新書) 私は未だ読んでいませんが、ネット上に要約や読者の感想が出ていますので、およその内容を知ることができます。統計の数値は、恐らく2月に出…

終末ケアの人材育成

東大の臨床死生学・倫理学研究会主宰の公開講座「高齢者のエンドオブライフ・ケアにおける人材育成」を聴きに行って来ました。明翔会の一員山本栄美子さんがスタッフとして世話をしている講座です。講師は桑田美代子さん、青梅慶友病院に勤める、老人看護専…

仏を見るということ

本井牧子さんの論文を2本読みました。 『釈迦堂縁起』とその結構(「國語國文」5月号) 海を渡る仏―『釈迦堂縁起』と『真如堂縁起』との共鳴(『ひと・もの・知の往来』勉誠出版) 嵯峨の清涼寺の釈迦像は、自らの意志で辺土日本へ渡ってきた仏である(だ…

河童忌

今日は河童忌です。昭和2年に芥川龍之介が自殺したのも暑い日で、暑さに腹が立って死んだんだろう、と友人たちが悲しみを紛らかすための冗談を言い合ったそうです。 文学を、人生を、教えて貰ったのは芥川からでした。もっと正確に言えば、吉田精一著『芥川…

軍記と語り物

軍記・語り物研究会に出ました。岩橋直樹さん「治承寿永の乱の中の墨俣合戦」の発表は、ちょうど新出長門切とも関係があるので聴きに行ったのですが、とてもよく勉強していることが分かる発表で、幸せな気分になって帰ってきました。墨俣合戦当時の甲斐源氏…

根来寺

大橋直義さん編の『根来寺と延慶本『平家物語』』(勉誠出版)という本が出ました。「紀州地域の寺院空間と書物・言説」という副題通りの15本の論考と、大橋さんの序論が載っています。何回ものシンポジウムの成果が盛り込まれているようで、地元和歌山大…

奨学金問題・その1

奨学金問題に関する新書を2冊読みました。 大内裕和『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書) 岩重佳治『奨学金地獄』(小学館新書) 前者の著者は教育社会学者で奨学金問題対策全国会議代表、後者は弁護士で同会議事務局長。ほぼ同時に出た本ですが、前者は日…

言葉のマジック

「子供の貧困」という言葉が流通しています。不審な言葉です。いったい、子供だけが貧乏な家庭があるでしょうか。世帯の貧困、社会の貧困を言い換えて、まるで、みんなで何とかしてやらなくちゃ、という議論にさせようとしているかのようです。じつは政策の…

児童遊園

区が半年近くかけて、近所の小さな公園を作り替えました。美濃部知事時代にちょっとした空地を片端から公園にしたものの、小さな砂場とベンチくらいしかなく、木ばかり大きくなって、手持ちぶさたな営業マンが隠れ場にするのにちょうどいい、さびれた公園が…

初蝉

午後、大雷雨。雹も降りました。久しぶりに「天地」という概念が頭に浮かびました。 雨がやみ、今年初めてのみんみん蝉を聞きました。未だつっかかりながらのだみ声です。明日あたり梅雨明け宣言が出るかもしれないと、天気予報が言っています。

銷暑法

梅雨が明けていないといいながら東京は連日の酷暑。我が家は通風抜群ですが日照もまた抜群なので、昨日の暑さが冷めないうちに翌日の太陽が元気いっぱい昇ってきます。素焼の印度の壺に風呂の残り湯を入れておき、打ち水代わりにこぼしたり、色の濃い夏の花…

手嶋大侑論文

日本史の友人から、手嶋大侑さんの論文について感想が寄せられましたので、了解を得て掲載します。 手嶋さんの論文を4本読みました。 ①年官制度発生に関する一考察―貞観13年藤原良房第二抗表をめぐって―、「人間文化研究」21 ②「三宮」概念の変遷と「准…

往来の文化学

内田澪子さんの「長谷寺「銅板法華説相図」享受の様相」(『ひと・もの・知の往来―シルクロードの文化学』勉誠出版)という論文を読みました。内田さんはこのところ長谷寺縁起とその周辺を探究しており、この論文では国宝「銅板法華説相図」の享受と長谷寺縁…

『常識を疑う』

藤巻和宏さんの「中世が無常の時代というのは本当か」(『古典文学の常識を疑う』勉誠出版)を読みました。藤巻さんは『ともに読む古典』(笠間書院)でも、中世が宗教の時代と言われるのは、現代人に都合のよいレッテル貼りに過ぎない、と論じています。た…

年官制度

手嶋大侑さんの論文「平安中期の年官と庄園」が「日本歴史」7月号に載りました。論文集『明日へ翔ぶ 四』掲載の論文「年官制度の展開―中央と地方の連関ー」の続編です。中央の権門は、平安時代以降、年官によって形成された地方の有力者とのネットワークを…

新盆

従妹の奥沢の家へ、新盆の線香を上げに行きました。東横線沿線は、かつて資料館が戸越にあった時はよく通いましたが、この頃はとんとご無沙汰です。二子玉川は風景がすっかり変わっていました。 従妹は私と同い年、現役バリバリの保険外交ウーマンでした。仏…

金蓮花を食べる

金蓮花がひょろひょろと伸びすぎ、花付きが悪くなりました。植え替える予定のコリウスはどんどん大きくなり、もう待てない。金蓮花の葉と茎を刈り取って、洗ってサラダに混ぜました。以前、播種で育てたことがあって、種子袋に「食用・観賞用」と書いてあっ…

地下に眠るエネルギー

去年の春、近所の古い木造アパートが取り壊され、更地になりました。前面にあった駐車スペースは三和土で固められて、僅かに十二単や菫が生えていたくらいでしたが、更地になってぽつぽつ草が生え始めました。植物相の形成に興味があったので、通りすがりに…

誤用の語法

若い人の中古文学の論文を複数読む機会があって、ひどく気になったのが「まなざす」という語です。「まなざす」という動詞は無いと思います。少なくとも大きな国語辞典には載っていない。「まなざされる」「まなざした」等の語がちょくちょく顔を出す論文は…

平家琵琶のワークショップ

文京区の芸術文化祭記念事業「日本の響き、世界の調べ―琵琶とシルクロード」のチケットを買いました。平家琵琶の研究者薦田治子さんの解説で、薩摩琵琶、平家琵琶、中国琵琶、ウード、リュート等の演奏があります。文京シビック小ホールで11月25日17:…

太平記絵

思文閣古書資料目録善本特集『和の史』254号に「太平記図屏風」6曲1双が載っています(No22 ¥650万)。太平記絵はあまり多くなく、このように豪華なものは珍しい。24図が物語の順とは関係なく屏風に貼られているとのことなので、当初から屏風…

資源セミナー

第375回資源セミナー講演会を下記の通り開催します。 会場とレジュメは30人分用意してありますので、一般の方も来聴歓迎いたします。 日時:平成29年 7月29日(土) 14時より 会場:〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター…

花火

文庫本の『火花』(又吉直樹)を読みました。話題が古いと思われそうですが、文学賞を獲った作品は発表時の雑誌で読むか、文庫化されてから読むかに決めているのです。森敦も野呂邦暢も雑誌で読んだのですが、この頃は手が空かないので、文庫化されてからや…

出版事情

歯医者の帰りに本屋へ入りました。ここ10年ばかりの間に本屋が2軒もつぶれ、20分ほど歩かないと行かれない場所になってしまいました(学生街なのに、というか、だからというか)。久しぶりに入ったら書架の配置が変わっていて、店の面積の7割は新書・…

NL寄稿募集

明翔会会員の皆様、ニューズレターに寄稿しませんか。 目下、第2号を編集中です。今年3月の第2回研究報告会の記録のほか、会員の活動報告・近況報告、就職活動や研究助成金の情報などを掲載する予定です。できあがりましたら、会員にはPDFファイルでメ…

源平の人々に出会う旅 第7回「伊豆・流人頼朝」

平治元年(1159)、平治の乱の敗北により13歳の源頼朝は伊豆の蛭ヶ小島へ流罪となります。この間の頼朝については『源平闘諍録』や『曽我物語』に詳しく、伊東祐親の娘(八重姫とも)との悲恋や北条政子とのドラマチックな婚姻などが記されています。【蛭ヶ…

31年目の女子会

31年前に卒業させたゼミ生が、丸の内で昼食会をやってくれました。非常勤で行っていた女子大で専任教員が内地留学し、その肩代わりとして教えたゼミです。専任は厳しいクリスチャンだったので、酒やわるい遊びを教えないように、ときつく釘を差されて引き…

桜桃

桜桃がスーパーで買えるようになるなんて、夢のようです。太宰治は父親の自分は酒場で飲んだくれ、首飾りのような桜桃を子供たちは見たこともない、と後ろめたさを逆バネにして短編を書きました。我が家では親子ともども太宰の愛読者だったので、6月には奮…

守宮

寝る前に北向きの窓を閉めたら網戸に妖しい影が映りました。守宮のようです。こんなコンクリート建ての環境でよく棲みついたと思いましたが、周辺には木造の古い家もあれば木立も多い所なので、不思議はありません。 改めてヤモリとイモリの違いをネットで調…