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源平闘諍録

早川厚一さんの「源平闘諍録全釈一二」(「名古屋学院大学論集」言語・文化篇28:2)を読みました。源平闘諍録の巻一上「仁安三年戊子三月二十日・・・」から王昭君説話の終わりまで、講談社学術文庫本『源平闘諍録』でいうと上巻p145~159の注釈…

怪我の高名

先週末、煉瓦の舗道で躓き転倒して、したたかに膝を打ちました。皮下出血が見えなかったのでそのまま歩いて帰り、週明けに医者にかかったら、関節内に出血が溜まっている、靱帯損傷全治3週間と言われました。家の中では花魁のように外八文字で歩いています…

鬼瓦

樋口一葉が通ったという風呂屋「菊水湯」は3年前に廃業、代替わりの後継者がいなかったらしい。銭湯の経営はけっこう重労働なのでしょう。跡地には低層ながらマンションが建ち、屋根の鬼瓦だけが塀際に飾ってあります。お向かいの菊坂には一葉が通った質屋…

気になる語

若い世代の提出書類を読んでいて、気になる言葉があります。ひもとくーどういう意味で使いたいのか?やたらに目立つのです。辞書を引くと、蕾がほころぶ、とか、子供用の着物から大人の帯を締めるようになる、等々の意味も出て来ますが、元来は書物を開いて…

天南星

植物図鑑でのみ、または文学作品でのみ知っていた植物の実物に出会った時の感動は、忘れがたいものです。ああ、これがあの・・か、としばし佇んで想いを廻らせます。 中学校の塀際に見慣れない草の花が咲くのを3年前に発見、その後気をつけて見てきましたが…

旧同僚

夕方、とつぜん電話がかかってきて、鳥取で同僚だった菅原、と名乗られました。一瞬、間を置いて、思い出しました。三十数年前、助教授同士で研究室が指し向かいだった国語教育の菅原稔さんです。その後鳴門教育大、岡山大と異動して定年になった由(時折噂…

平曲の「木曾最期」

鈴木孝庸さんの「平曲「木曾最期」の<語り>―演誦の場から―」(新潟大学「人文科学研究」140号)を読みました。鈴木さん自身が平曲を語る立場から、「木曾最期」の曲節に特殊な傾向が見られることに気づき、詞章の内容との関係を考察した論文です。 平曲…

さらば青春

高校生から大学生時代に弾いていたギターを売りました。クラシックギターの先生に、一生使える物をと見立てて貰った1本です(当時の大学出初任給の、3分の1くらいの値でした)。54年前の製作者の名前も入っていたのですが、買い取り業者からは、ばらし…

薔薇仕事

ベランダの鉢植えの薔薇が開き始めました。還暦になった年に従妹からお祝いに貰った鉢です。毎年5月に大輪の赤い花を、夏には小さな濃いピンクの花を、そして冬に入る前にも赤い花をつけます。専門家は冬の蕾は剪り落としてしまうようですが、薔薇を愛し、そ…

保育者養成史

永井優美さんから自己紹介の原稿が来ました。原稿は履歴書みたいに書いてあるので、読者にわかりやすいよう、以下、一部書き直して掲載します。 永井(旧姓田中)さんは東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科 (博士課程)在学中に松尾金蔵記念奨学基金を受…

長門切からわかること

國學院雑誌5月号が出ました。拙稿「長門切からわかること―平家物語成立論・諸本論の新展開―」が出ています。昨年7月に投稿するはずだったのですが、諸般の事情で今月号になりました。 新出の長門切(「敦盛最期」2葉、「宇治合戦」2葉、「横田河原合戦」…

組織の能力

このところ、親の家を整理しているので、異なる業種の人たち、チームや組織の仕事ぶりをウオッチングする機会が多い。経験則ですが、顧客に要求することの多い組織は必ずと言っていいほどミスをする。有名な企業であっても個人がいい加減な対応をするところ…

いま欲しい平家物語論とは

「リポート笠間」62号ができあがり、まもなく発送されます。国文学関係の学会会場でも配布されますが、はやく読みたい方は直接笠間書院へご注文下さい。 特集1は「いま全力で取り組むべきことは何か」、特集2は「デジタル化で未来をどう創るか」ですが、…

もより会

学部時代の母校の同窓会文京区支部の集まりがあったので、出てみました。昨年から始まったもより会(同窓会の中の地区ごとの会)です。昨年は十数人だったので、テミルのお菓子を30粒持参して宣伝しようとしたら、今年は40人以上の出席で、足りませんで…

遠雷

大塚駅近くの都電沿線の薔薇を観に行きました。商店街が植え始めたのがもとで、今では有名になり、5月24日までを「薔薇まつり」期間と謳っています。学生時代、この辺のアパートに住んでいたのですが、もう、どこなのかが全く判らないほど、町は変わって…

信濃土産

一昨日長野の農産物直売所から送った宅配便が届きました。旅行に出ると、地元で開発した商品や農産物を買ってみるのが習慣です。今回買ったのは―玉葱のジャム(果たして美味しいのか?期待と不安)、洋梨ジャム、ネクタリンのジャム。林檎とワインのドレッシ…

みすずかる

1泊2日で、30年来の旧友の故郷を訪ねました。みすずかる信濃の松代です。林檎の花を見たい、と頼んで連れて行って貰いました。蕾の外側はぽっと紅色を帯び、開いた花は純白です。山の斜面一面が林檎畑で白くかすんで見え、雪国の春は遅い桜や花桃や水木…

西尾実とフィヒテ

松崎正治さんの「西尾実の国語教育思想における言語観ーフィヒテの言語哲学を媒介としてー」(「同志社女子大学学術教育年報」67)を読みました。日本の国語教育の父ともいえる西尾実の言語生活論の発想源を、1920年代後半から1945年頃までの彼の…

薔薇とオジサン

給水公苑に薔薇を観に行きました。水道局が配水池の上に蓋をして薔薇を植えた公園です。今が真っ盛り、さまざまな種類の薔薇が咲き、空気はその香りで満たされていました。ベンチの端に座って、(日曜版なので)新聞を2時間近くかかって読みました。平日に…

ジャスミン

我が家の素馨花もそろそろ終わりのようです。2週間くらいの間、部屋に流れ込む芳香を楽しませて貰いました。弟が亡くなる前、小さな枝を剪って持って行き、ペットボトルに挿して置いてきたところ、当直の看護師さんが「病室に入るとたんに、いい香りがして…

緑陰

このところ連日、実家の片付けをしたり形見分けの発送をしたりしたので、心身共に疲労困憊。久しぶりに大学構内の大楠の下で、ゆっくり朝刊を読みました。幹は三抱えもあろうという老楠です。すっぽりと若緑色の傘の下に入って、頭上から降ってくる鳥の声や…

奈良絵本「新曲」

山本陽子さんの「奈良絵本『新曲』挿絵の制作過程を考えるー明星大学本と諸本および『源氏小鏡』を比較してー」(「明星大学研究紀要」25)を読みました。奈良絵本とは、近世初期に京都で作られた手書きの絵入り本のことです。「新曲」は太平記中の一挿話…

鴉を飼う

4月21日の本欄「鴉」を読んだ多ヶ谷有子さんから、メールを頂きました。心温まる内容ですので、ご紹介することにしました。 かつては烏は苦手な鳥でした。ところが、35年以上前でしょうか。生物の先生をしている主人のところに、生徒たちが瀕死の烏を連れ…

源平の人々に出会う旅 第5回「木津川・以仁王の最期」

三井寺を脱出した高倉宮以仁王は南都へ向かいます。途中、平等院で、追ってきた平家軍と激戦になり、三井寺法師が活躍(橋合戦)しますが、平家方の足利又太郎が馬筏で宇治川を渡り、源氏軍は総崩れとなります。頼政父子は自害、以仁王は南都を目指します。…

牡丹

鳥取と島根の間に中海という汽水湖があり、その中に大根島という小さな島があります。牡丹苗の産地で有名で、全国に出荷していますが、かつては女性の行商が主戦力でした。32年前、鳥取に赴任が決まってすぐ、NHKのTVドキュメント(「新日本紀行」だ…

鯉のぼり

鯉幟を見ることが少なくなりました。以前はマンションのベランダから差し出した幟なども見かけたものですが・・・この時季は案外風が強く(薫風といいます)、はたはたと鳴る幟の音は、初夏を呼び寄せる気がします。 弟は団塊世代でしたが、生まれた時は未だ…

保元と平治

阿部亮太さんの「認識としての「保元・平治」―物語は院政期の動乱をいかに捉え直すか-」(「国語と国文学」4月号)を読みました。保元物語・平治物語・平家物語の3作品が、保元の乱・平治の乱を一括して捉え、「保元・平治」という呼称と認識の型を定着さ…

しらす

銀行へ行った帰りにスパゲティの昼食を摂りました。季節限定で「しらすと春キャベツ」というメニューがあったので、どうかなあと思いながら注文してみました。釜揚げしらすがたっぷり乗せられ、小綺麗に盛りつけてあって、チーズ味のソースが意外に合う。春…

QWL

明翔会会員の中尾文香さんに最近の活動を書いて貰いました。テミルプロジェクトについてはすでにこのブログでも紹介しました(株式会社テミルのHPはwww.temil.jp)。 彼女の新著『障害者への就労支援のあり方についての研究』に関するお問い合わせは、風間…

臨床死生学

東大の死生学・応用倫理センター主催の講演「長寿時代の臨床死生学・倫理学」を聴いてきました。死生学とは、「死生」を一体としてとらえ、人間が死生をどう理解し対処してきたかを考える学問で、その結果を応用して臨床現場で実践する領域が臨床死生学だそ…

近松研究史

原道生さんの「戦後近松研究史の一側面(その三)ー近松の会を中心に-」(「近松研究所紀要」72)を読みました。昭和26年夏の日本文学協会総会の報告や雑誌「文学」に掲載された広末保の言説が、戦後の近松研究史に画期をもたらしたととらえ、著書『元…

軍記・語り物研究会

久しぶりで軍記・語り物研究会に出ました。発表は藤田加世子さんの「『平家物語』の物語系図について―宮内庁書陵部蔵『平家物語系図』と『平家花揃』―」、小助川元太さんの「儀式の道具としての軍書」の2本です。参加者もけっこう多く、多士済々の感があり…

研究発表会

母校の国文学会で院生の研究発表を聴きました。石井悠加さんの「鳥羽殿の和歌」は、和歌の催しが行われる場としての鳥羽殿の変遷をたどり、権力者の栄華と失脚に繰り返し関わった広大な人工空間に、和歌がもたらした意味の大きさを考えようとしたもので、シ…

そろそろ物干し場のハンガーを隠す季節になりました。巣作りする鴉に盗まれるからです。都会には手頃な枯れ枝が見つからないためか、針金製のハンガーを集めて電柱の上などに巣を作るらしい。時々感電して停電事故の原因になることもあるそうです。ワイシャ…

炊き込み御飯

子供の頃、季節ごとの炊き込み御飯が食卓に上りました。今の季節ならグリンピースを混ぜた塩味の豆御飯。醤油味の竹の子飯。秋なら菊の花びらを混ぜて酢飯にした御飯。松茸御飯は醤油味で栗御飯は塩味。銀杏に鶏(または油揚げ)や干椎茸や人参を入れた五目…

燕子花図屏風

根津美術館で恒例の尾形光琳「燕子花(かきつばた)図屏風」展示を観て来ました。いつもより混んでいましたが、「行楽を楽しむ器ー堤重と重箱」の展示や「初夏の茶の湯」の展示も楽しめました。後者に出ていた独楽香合(17世紀、東南アジア)と片口水指(…

現代詩

渡邊十絲子さんの『今を生きるための現代詩』(講談社 現代新書)をようやく読み了えました。読みにくい本だというわけではありません。その逆なのですが、本屋で見かけて買ってからベッドサイドに置き、4年近くかかってしまいました。入試問題を作っていた…

八重桜

長泉寺・法真寺・赤門脇と、種類の違う八重桜を見て歩きました。赤門脇には2本あったのですが、いつの間にか1本は切り株になってしまいました。ベンチに座っていると、ちょうど楠の葉の交代期で、落葉が肩に当たって、かるく痛い。行き交う老若を眺めなが…

鎌倉歩き

日本史の坂井孝一さんから、「NHK総合テレビ4月21日(金曜日)午後8時から放送の『歴史秘話ヒストリア』に少しだけ出演することになりました(全体で43分ほどの放送時間のうち、私が出演する「鎌倉」の部は13分ほど、再現ドラマやアナ単独の部分…

後期軍記

山上登志美さんの「八上城落城と本能寺の変―光秀「怨恨説」をめぐってー」(甲南國文64)という論文を読みました。明智光秀がなぜ信長を暗殺したのか、従来信じられてきた丹波国八上城攻めにまつわる「怨恨説」を検証しています。八上城攻めを扱った軍記『…

春のエネルギー

野菜の、立派な不要部分をどうするか―何だか可哀想で捨てられない。セロリの大きな葉や枝は、煮込み料理のブーケにもしますが、刻んで炒め、醤油と少量の甘味(味醂か砂糖)と唐辛子で味付けすると、白飯にも酒肴にも合う一皿になります。油揚げか竹輪または…

それでも生きていく

渡部泰明さんの『中世和歌史論 様式と方法』(岩波書店)という本が出ました。前著『中世和歌の生成』(若草書房)が藤原俊成中心だったのに比べ、書名通り、古代和歌から中世和歌へ、西行・定家・実朝の作歌方法、そして芸能や連歌への展開をも視野に入れて…

石榴

石榴の新芽が出始めました。貰った実の種子を一粒播いて育てた石榴です。花も楽しめますが、この時季の赤い芽吹きが美しい。 小学校の時、国語の教科書に「一夜のこがらしに、ざくろの葉は散りつくした。」で始まる文章が載っていて、授業で指名されて音読し…

汀と渚

北村昌幸さんの「『平家物語』の汀渚―敦盛最期の舞台―」(『浜辺の文学史』三弥井書店)という文章を読みました。一ノ谷合戦の後、熊谷直実が平敦盛を討ち取る場面の平家物語諸本、芸能、絵画などを見渡して、勝者と敗者、源氏と平氏等の2項対立を明確にす…

ヒューストン

かつての教え子が小学生の娘を連れて、アメリカの宇宙センターを見学してきたからと、パンフレットを送って来ました。フロリダ州のケネディ宇宙センターとテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターを、1週間かけて見学するツアーです。ロケットや人…

咲きました

実生の桜が咲きました!花房は5つ、いま9輪開いています。染井吉野なら蕾の時からピンク色になるので、今年も駄目かと力を落としていたのですが、緑の萼の中から覗いた蕾が次第に薄紅を帯びた白に変わり、ふっくらと開きました。大島桜だと思います。 2月…

寄居町

従妹の納骨に埼玉県の寄居(よりい)町のお寺まで出かけました。北条氏の城、鉢形城趾の中を抜けて行きます。桜、花桃、連翹、杏、雪柳、菜の花、花大根、色とりどりの花が咲き乱れ、鶯が鳴き、人影の殆どない、静かな所でした。 同い年でしたが癌が見つかっ…

テミル・プロジェクト

株式会社テミルの中尾文香さんが、『障害者への就労支援のあり方についての研究』(風間書房)という本を持って訪ねてきました。明翔会会員の1人です。テミルで働きながら社会福祉の大学院を出て、障害者の労働環境向上のプロジェクトをやっています。この…

医学博士留学支援金

知人を介して、奨学基金運営の経験を聞きたいので会いたい、との申し入れがあったので、銀座へ出かけました。一篤志家の遺産をもとに一般財団法人を設定、博士号を取った医学生の海外留学を支援する基金を作る準備をしている、というお話でした。指定する大…

末っ子気分

2歳年上の従姉と待ち合わせて、横浜のホームにいる12歳年上の従姉の許を訪ねました。先日のプロジェクト終了の女子会で後輩から贈られたシャンパンを、花見酒として持参、3人で今年の桜を見られる慶びに乾杯しました。欧州旅行を重ねてワインにうるさい…