浜風

4月の風はさわやかですが、けっこう冷たい。未だ空のどこかで、残雪の峯を擦ってくるのでしょう。湘南で育ったので、浜風の記憶が呼び覚まされます。こんな風の吹く晴れた日には、砂山のくぼみに隠れるようにして、浜豌豆の濃紫の花が咲いているはず。弘法…

追悼番組

皮膚科を開業している従妹の診療所へ、アレルギーの薬を貰いに出かけました。一里塚のある街です。黄昏の中、新緑の匂いがたちこめ、躑躅が咲き出し、カーディガンを羽織って歩くと汗ばむ陽気でした。 従妹は鳥取大学の医学部を出て、フリーランスの麻酔医と…

天皇の装束

近藤好和さんの『天皇の装束』(中公新書)を読みました。近藤さんは有職故実の専門家です。まえがきに「本書は、天皇のファッション史を説くものではない。装束を通じて、天皇という存在を考えるための手掛かりを得ようとする」ものだと言っており、巻末で…

ノートルダム

ノートルダム大聖堂の火災のニュースには、思わず絶句しました。欧州の建物は石造だから火事には大丈夫、と思い込んでいたのに、肝心のところは木造だったのですね。巴里の人たちが、崩れ落ちる尖塔を見ながらアヴェマリアを歌う報道画面に、胸が痛みました…

死霊の表象

伊藤慎吾・中村正明共著『<生ける屍>の表象文化史ー死霊・骸骨・ゾンビ』(青土社)という本が出ました。帯には「死霊はどのように描かれてきたのか」「イザナミからゾンビまで」とあります。また総論の冒頭には、「<死>というものを即物的に<死体>と…

パン屋を探して

行きつけのパン屋が突然閉店しました。ショックです。いいパン屋と花屋と本屋のある街に住みたい、と思っているので、この街に引っ越して来た時に確かめておいたのですが、15年目にして本屋もパン屋もなくなり、花屋は代替わりして質が落ちました。毎朝パ…

八重葎

神野藤昭夫さんの『八重葎 別本八重葎』(笠間書院 中世王朝物語全集13)が出ました。校訂・訳注とありますが、実際は書名に「本文と研究」とでも付け加えておくべき本です。補注にも解題にも、この2つの作品の最新研究が、びっしり書き込まれているから…

拾う

放っておくと枯れてしまう、と分かった花や芽を、つい拾ってしまいます。4,5日前、小学校の脇に真っ赤なフリージアの花が抜き捨てられていました。誰かが、花を折ろうとしたら根元から抜けてしまったので、驚いて捨てたらしい。このまま放置すれば枯れる…

神代桜

友人の車で、北杜市の神代桜を見に出かけました。途中の山林の新芽や山桜、花桃などが目を楽しませてくれました。ところどころ一昨日の雪が残っています。お目当ての神代桜は満身是創痍といった状態で、花はすでに盛りを過ぎていましたが、さまざまな種類の…

台湾の平曲譜本

鈴木孝庸さんから、国立台湾大学図書館典蔵平家物語音譜本第一巻『平家物語節付語り本』(国立台湾大学 2018)という本を頂きました。台湾大学は、かつての台北帝国大学であり、近世から近代初期の和古書を多く所蔵していますが、その大半が未整理のまま…

棲み分け

眼科の定期検診に出かけました。冷たい雨の降る日で、杖と傘とを持つと手が混乱し、我ながらもどかしい。バス停の雨だれに打たれて、鷺苔が咲いていました。苔ではなくれっきとした草なのですが、地べたに這うように広がり、盆栽の根元に貼り付けると風情が…

国書

新元号の話題が、こんなにフィーバーするとは意外でした。明治・大正・昭和前期(戦前)・昭和後期(戦後)という区分は、何となく文化の違いも判って手放し難かったのですが、平成に入ると換算がめんどうで、元号に愛着が薄れました。しかし世界規模で見れ…

靴の苦痛とドレスコード

女性にパンプス着用を義務づける職場内規を糾弾、厚労省に企業への指導を求める署名運動が話題になっています。通勤用の婦人物スーツ(ポケットがない)や靴に関する不平不満は大いに賛同したかったのですが、ツイッターを読んでいくうちに、あれ?と思いま…

恩師の墓参

東京霊園へ、同窓の5人でお墓参りに出かけました。来年の3月25日が恩師の一七回忌なので、来年お参りに行こうと言ったら、もうみんな、思い立ったらその時にやっておくべき年齢だから、今年行こうよ、という話になったのです。最近は中央線に乗る機会が…

調査2日目

昨日に引き続き、終日源平盛衰記の調査をしました。今日は4人で、手分けして乱版と写本を見ました。数百年も前の紙と墨跡を見ながら、書写者の思いを感じ、彼がふと机を離れた瞬間をも推察できるのが書誌調査の理想、と何かで読んだことがあります。勿論、…

文献調査1日目

源平盛衰記の共同研究に便乗して、特殊文庫で終日、写本を調査しました。この写本を室町末期と判定している研究者がいるのですが、うーむ、と思われる要素がつぎつぎ出て来て、明日もう1日見ながら今後の方針を考えよう、と決めました。連れの2人も、調査…

吾妻鏡と平家物語

清水由美子さんの「『平家物語』と『吾妻鏡』―横田河原合戦記事をめぐってー」(中央大学文学部「紀要」274号)という論文を読みました。史実との乖離を指摘するだけでなく、歴史離れの意図の中に、本文の時代的変遷を見ようという立場から、諸本間で異同…

源平の人々に出会う旅 第27回「犬山市・磨墨」

寿永3年(1184)1月、東国の大軍勢が都に迫ります。この時、梶原景季(景時の子)は、頼朝に名馬生食(池月などとも)を所望しましたが、生食の代わりに名馬磨墨を与えられます。その後、頼朝は生食を佐々木高綱に与えてしまうのですが、高綱は景季に生食を盗…

夕桜

定期検診で歯医者へ行く前に、本屋へ寄りました。『逆流食道炎』というブックレット(わかさ出版 2019)を入手、待合室でぱらぱら読むと、思い当たることばかり。前屈みの姿勢が続く、早食い、ストレス、1日2食、夕食が遅い、おまけに腰痛のため枕を外…

播磨坂

長野の旧友が上京し、例年通り近場の花見に行きました。今年は彼女の妹さんも一緒です。まず伝通院で、大木2本と枝垂桜を観賞した後、バスで播磨坂へ行きました。ここ10年ほど毎年観に来ていたのですが、今年は満開で未だ散らず、人出も少なく、最高の花…

春の楽しみ方

スーパーで、小さな蕗の薹を安売りしているのを見つけました。山形産だそうで、親指の頭くらいの大きさ、このくらいの方が料理しやすいと思って買うことにしました。半分は、その日味噌汁に入れました。けっこう苦いのですが、春先は、この苦みが身体に効く…

源平盛衰記全釈

早川厚一さんが主宰する「源平盛衰記全釈」の連載14回目(「名古屋学院大学論集人文・自然科学篇」55巻2号)の抜刷を頂いたので、『源平盛衰記(一)』(三弥井書店 1991 久保田淳加注)をチェックしました。 早川グループの作業は、研究会方式では…

流布本保元平治物語

小井土守敏・滝沢みか編『流布本保元物語平治物語』(武蔵野書院)という本が出ました。小井土さんの所蔵する貞享2年版絵入保元物語平治物語を翻刻、略注を付け、滝沢さんが解説を書いて、講読用テキストとして出したものです。 底本の挿絵写真も綺麗に入っ…

長泉寺の山桜

朝刊を取りに行ったついでに、長泉寺の桜を見に行きました。何やら境内に人が集まっている。近づいてみたら、何と満開の山桜の上部半分が無くなっています。梯子を架けて伐採している作業員たちと男性1人と、それからおばさん2人がいて、庫裡にもおばさん…

武士のものがたり展

午前中、花を持って青山霊園へ出かけました。通りの店舗も、霊園の中も毎年変わります。新しい店ができ、集合墓ができ、木々が伐られてあかるくなっていました。通路にある古木の桜が土中の根からも花芽を出し、まるで地面からいきなり桜の花が咲いているよ…

延慶本全注釈

延慶本注釈の会編『延慶本平家物語全注釈』(汲古書院)が完結しました。1996年4月から、輪読会方式で作った注釈稿を、佐伯真一さんが中心になってまとめたものです。実に23年に亘って行われた集団作業で、参加した人たちは、入れ替わりがあるものの…

池袋

池袋へ用足しに出かけました。花見の下見を兼ねて、わざと春日通りをバスで行くことにしました。未だ3分咲きです。古木は思い切り枝を詰めてあることが多く、かつての並木は寂しくなって、思いがけない場所に若木が花をつけているのを見つけたりしました。…

アスリートたち

このところ立て続けに、すごいアスリートたちを観ました。子供の頃病弱だったので、スポーツは出来ないし興味もなく、お天気屋の多い体育教師とはいつも反りが合わず、スポーツには殆ど憎悪を抱いていたのですが、純粋に観客となってからは、それなりの感懐…

待ちわびて

九段の桜が咲き、東京の開花宣言が出てから、毎朝、長泉寺へ咲き具合を見に行きます。山桜、染井吉野、八重桜と3本ある桜の咲き具合です。今は辛夷と木瓜が満開、老木の山桜が1分咲き。先代住職の奥さんの話では、終戦の焼け跡にあったのは若木の山桜だけ…

おきゅうと

福岡の従姉から、おきゅうとが来ました。おきゅうとは、エゴという紅藻で作った、博多のソウルフードと言われる食品です。知らない人に説明するのはなかなか難しいのですが、ところてんの透明でない、やや重いものを想像して貰うと近いでしょう。きしめんの…