朝比奈という勇将

岩城賢太郎さんの「「朝比奈」という勇将―狂言〈朝比奈〉のシテ造型と近世期への展開―」(「武蔵野大学能楽資料センター紀要」29号)を読みました。狂言「朝比奈」から出発して、剛勇大力の朝比奈三郎義秀像が、ほぼ実像と見られる『吾妻鏡』記事の諸要素…

新緑の街

眼科の定期検診に出かけました。2時間半ほどで検査も診察も済み、何もわるくなっていないとのことでしたが、眼に光り物が出るのは血流のせいだと言われ、新しい心配が増えました。眼科の隣りは耳鼻科ですが、往きのEVで小さな男の子と出会い、人なつこいの…

能書の説話

磯水絵さんから頂戴した「能書の説話―諸道の説話研究に向けて―」(「二松学舎大学大学院紀要」32号)、「院の北面―西行と長明―」(「西行学」8号 2017/8)、「教科書に載る説話―『宇治拾遺物語』「袴垂、保昌に合ふ事」について―」(「二松学舎大学…

遊女往生

栃木孝惟さんの「遊女往生―『平家物語』「祇王」の章段を読む―」(「清泉文苑」33~35)が完結しました。2015年度清泉女子大学の生涯学習講座清泉ラファエラ・アカデミアで講じられた、栃木孝惟さんの最終講義を書き下ろしたものです。覚一本平家物…

喫茶店今昔・その4

鳥取に赴任した時、最初に感激したのはロマンチックな喫茶店があちこちにあることでした。土地が広く、木造一戸建ての店が多かったせいでしょう。海岸の国道沿いに建っていた真っ白な洋館、中には大きな船具が飾ってありました。絵本の中のお城のような(都…

新入社員だった頃・進路変更篇

民間TVが開局した当初は、映画会社・新聞社・ラジオ局、それに銀行などの寄り合い所帯で、新聞と放送は系列関係がありました(現在でもあります)。斯界の生え抜きは未だおらず、四大卒女性正社員の初採用だった私には、アルバイトと同じ仕事しか与えられま…

桃巌寺

名古屋へ赴任した時、アパートがなかなか見つからず、地下鉄の駅の真上にある1DKを借りました。世田谷区の我が家まで、殆ど傘なしで往復できるのはメリットでしたが、ドアを開ければすべて丸見え、という間取りでした。 夜な夜な隣のカラオケビルから換気扇…

中世写経料紙の調達

相田愛子さんの「中世写経料紙の調達と漉返紙利用に関する一試論」(「アート・リサーチ」18号)という論文を読みました。 11世紀半ば頃、官製和紙の紙屋紙は漉返紙に替わり、朝廷で使用される紙も諸国産の和紙に替わって、それらは市場で売買されること…

シェフとソムリエ

宮古島のフレンチシェフが、今度はソムリエの妻を連れてやって来ました。その昔、ワーキングホリデーで出会って、追いかけて一緒になった、という恋女房です。昼はバーガー店で、夜はイタリアンレストランで食事をしました。いつも混んでいるバーガー店です…

戦国武将と能楽

原田香織さんの『戦国武将と能楽』(新典社新書)という本が出ました。活字が大きく、読みやすい。家康を中心とした戦国武将と能楽にまつわる逸話が、次々に出てくるので、読者は多いと思います。 私はちょうど芸能史の勉強をしているところで、『新猿楽記』…

新入社員だった頃・カクテル篇

東京五輪の翌年、物価は上がり、カラーテレビも普及し始め、何となく街は希望に満ちていた春、同期入社で誘い合わせて六本木で呑んだことがありました。四大卒女子はこの年初めての採用でしたが、男子はマスコミ界に進出している大学の卒業生が多くて、酒に…

小宰相身投

原田敦史さんの「小宰相身投考」(「共立女子大学文芸学部紀要」64)を読みました。原田さんはこのところ、平家物語諸本の記事を読み比べ、綿密な読みによってそれぞれの意図と方法の違いを照らし出していく論文を積み重ねていますが、今回は一ノ谷で通盛…

平家語りのシンポジウム

6月10日のシンポジウム「<平家語り>の展開と継承」(本ブログお知らせ欄参照)の打ち合わせ会に出かけました。果たして話は噛み合うだろうか?不安に駆られながら、八重桜満開の田町駅前のビルに入りました。街はあかるく賑わっています。 講師の1人鈴…

共同研究

科研費が通ったので、新たに共同研究を始めるから、という相談を受けました。久しぶりに会ったので、互いにあれこれ雑談も弾みました。科研の方は、申請したテーマが大きいので、3本の柱を立て、年ごとに優先順位を決めて実施してはどうかとアドバイスしま…

女系家族

明日喜寿になる、という母方の従姉と待ち合わせて、87歳になる従姉を老人ホームに訪ねました。今年は桜が早かったので、庭はもう葉桜になり、みずきの白い花と紅い石楠花がきれいでした。 昼食をはさんで5時間、あれやこれやのお喋りをしました。3人とも…

新入社員だった頃・アジア勉学篇

TV局に入社後、国文科卒業は売りにならない、何かジャーナリスティックな専門を持たなければ、と悟りました。 学生時代に東南アジアを訪問したことがあり、4年次にマラヤ年代記や東南アジア史の講義を受けたりもしていたので、東南アジア問題に詳しくなろう…

新入社員だった頃

学部を出てすぐTV局に勤めました。首都高環状線建設中の時代です。四大卒女子は就職口がない頃で、その会社も初めて正社員で採った、ということでした。朝はちょっと早めに出勤して全員の机を拭き、お茶を出し、昼には女性だけが交替で留守番をすることにな…

春を食べる

今年の春は駆け足です。近所のスーパーに、すこし大きくなりすぎた蕗の薹が出ていました。揚げ物はしないのですが、何かと合わせて炒めたらいいかもしれない、と買った後で、それは酒肴だと気がつきました。どうも未だ節酒の目になりきれず、つい肴向きの食…

源平の人々に出会う旅 第15回「長野市・横田河原合戦」

『平家物語』において、木曽義仲の活躍が最初に描写される合戦は横田河原合戦です。『平家物語』には、諸本間で大きな異同があったり、史実とは異なる日時に設定されるエピソードがありますが、横田河原合戦もそのうちの一つです。 【横田城址】 平家方の越…

笹の雪

友人の三回忌が近いので、誘い合わせて護国寺へお墓参りに出かけました。同窓の5人、年齢幅20歳。境内では、いろいろな種類の枝垂桜や八重桜が見事でした。 お参りした後、夕食までには時間があるので、バスで不忍池まで行き、池端をぶらぶらしました。大…

花相似、人不同

長泉寺の八重桜がほぼ満開になったので、喜福寿寺の枝垂桜と赤門の八重桜を見て歩きました。昔あった桜は伐られ、思いがけない所に若木が花をつけていたりします。安田講堂の前の大楠の下で、新聞を読みました。この楠も、あちこち大枝を切り落とされていま…

桜の一日

好天に誘われて、伝通院の桜を見に出かけました。境内で、幼稚園や老人ホームの遠足とすれ違いました。種類の異なる枝垂桜4本が見事。染井吉野は散り始めていましたが、風下に立つと、天空から私を目がけて降ってくる花びらが刺さるようで、いい気持ちにな…

胡蝶蘭が咲き始めました。毎年、花を贈って下さっていた先輩が亡くなって2年、ようやく我が家になじんで、自力で咲いてくれたのが嬉しいです。 蘭は、もともとどんな環境で生育していたのか知らずに室内で育てるので、意外な失敗があります。マレーシアやシ…

薺(なずな)

薺(なずな)の白い花が路傍に咲いています。『明恵上人伝記』の中にこんな話がありました―ある時、庭の薺を摘んで味噌味の雑炊に入れて食事に出したところ、上人は1口食べて周囲を見回し、引き戸の桟に積もった埃を指で掬って雑炊に混ぜた。わけを訊くと、…

平家琵琶

国立小劇場で、6月2日に「日本音楽の流れⅡー琵琶ー」と題する邦楽公演があるらしく、案内が来ました。楽琵琶、盲僧琵琶、今井勉検校の平家琵琶「竹生島詣」、そして薦田治子さんたちの解説と共に、筑前琵琶、薩摩琵琶など近代の琵琶楽の演奏もあります。今…

定点観察

播磨坂と南大塚の桜並木を、友人と歩きました。このところ毎年、花見はここと決めているのです。今年はまさに満開、最高の時季の花見でした。 犬を連れている人が多く、犬はきょろきょろしていましたが、花見どきの興奮は分かっているのでしょうか。大塚の三…

飛蝗の現場

前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書 2017)を読みました。表紙にぶきみな飛蝗コスプレが描かれている本です。売れているらしい。 昆虫好きが高じて飛蝗研究者になり、ポスドクの生活不安を抱えつつ、学振の海外特別研究員に応募…

今年の桜

東京の桜は今日が満開、と天気予報が言うので、花見に出かけました。まずは教育大跡地の古木の桜並木の下を歩こうと、バスで旧磯野邸の近くまで行きました。親子連れや老人グループが散策しています。ところがー並木は高い塀で囲われ、3/24(今日です)…

鷹書

二本松泰子さん2冊目の単著『鷹書と鷹術流派の系譜』(三弥井書店)が出ました。二本松さんは、母校の立命館大学が所蔵していた鷹書(鷹を使う狩猟に関する書物)を調査するところから始めて、鷹書の共同研究に参加するだけでなく研究会を起ち上げたり、各…

喫茶店今昔・その3

近所に江戸時代から続いているという金魚屋があって、喫茶店も経営しています。屋内はちょっと変わった構造になっていますが、女将の言うには、もとは金魚を入れる水槽だった由。店が小路の引っ込んだ所にあるので、知名度を上げるために改造して喫茶店を始…